Rjの登高漫歩
山歩記 - 高尾山(2004.11.28)

last modified: 2004.12.05


概略

経路(標高) 地形図
京王線高尾山口駅(200m)〜稲荷山〜高尾山(599m)〜薬王院〜浄心門〜琵琶滝〜京王線高尾山口駅 Air Master 32 AXS GTX 与瀬 (北東)
八王子 (北西)

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

富士と人出と紅葉と

某K氏に対抗したわけではありませんが(関連:K氏による前日の高尾山散策記)、東京都八王子市にある高尾山へ行ってきました。当日の天気は快晴で、既に真っ白けっけになった富士山やら全開の紅葉やらそれに合わせたものすごい人出やらを満喫してきました。

お手軽ハイキングで知られる高尾山やその周辺は、一億年程前には海底だったそうな。この辺のお話は「高尾山の地学(高尾通信:地質学からみた高尾山)」に詳しいので、興味のある方はご覧下さい。

出発は京王線高尾山口駅。朝、比較的早めに行ったので(新宿から出る二本目の高尾山口行き急行を利用)、まだそんなに混んでいませんでした。駅や駅前にはトイレがあり、少し歩いたケーブルカーの駅にもトイレがあります。ケーブル駅に向かって左側には「ひょうたん水」(だったかな?)という水場がありますので、空のペットボトルか何かを持って行き、そこで水を飲んで&汲んでから出発するとよいかもしれません。

今回登りに使ったルートは「稲荷山コース」と呼ばれるもの。山頂から南東側に延びる尾根上の道です。路面は概ね良好だし傾斜は大部分で緩く、歩きやすい道だと思います。高尾山口駅から30分で稲荷山の東屋(展望ポイント/トイレあり)、そこから30分で山頂です・・・と言い切ると、初めての人には不親切かもしれません。自分の脈拍を時折数えながら無理のないペースで歩けば【心拍数上限の目安:(220-年齢)*0.75】、さほど苦しまずに済むでしょう。休憩も含めて、元気な人の場合はおおよそ二時間程見ておけばよいのではないでしょうか。因みに、高尾山では走っている人もちょくちょく見かけます。そういうスポーツを「トレイル・ランニング」と言うそうです。彼等の場合は往復でも一時間掛からないと思われます。

稲荷山の展望台からは新宿のビル群やら何やらが見えました。僅かに霞むものの、都庁のツインタワーもきちんと認識出来ます。雄大な関東平野の眺めを楽しむには、朝早い方がよい(日が多い)でしょう。空気が澄んでいるから。また、日が暮れれば夜景も楽しめることと思います。しかし、暗い山道はたとえ懐中電灯等を持っていても危険が増すので、いきなり夜歩く計画にするのは止めておいた方が無難です。夜歩く予定じゃなくても、懐中電灯の類は念の為持参して下さい。

01_inari
稲荷山からの景色(左)
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稲荷山からの景色(右)
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新宿周辺拡大図

途中、木々の隙間から丹沢山塊やその向こうを眺めつつ登り、最後の急登をこなして山頂に着くと、既にすごい人出。ヒトデみたいな形をした赤い葉っぱの木も沢山あります。その美しさは筆舌にもデジタルカメラ写真にも尽くし難く、ガイコクになんてそんなに行ったことないのに「日本の紅葉は世界一よの!」などと思ってしまうくらい。しばしそこらをふらつき、無理とは知りつつもカメラに収めるべく奮闘しました。

山頂の一角にはライブカメラがありまして、毎時丁度(の少し後)に撮影され、高尾森林センター(webサイト)で公開されています。さて問題。2004年11月28日10時の山頂ライブカメラ画像のどこかに、私が写っています。どれでしょう。

答:自分でもわかんねーよ!

気象条件が良ければ、山頂からは富士山も見えます。この日はかなり空気が澄んでいたので、よく見えました。左に見えるやや尖ってるのは丹沢の大室山。その左にずらずら続いているのが丹沢山塊で、左端には大山が見えます。ここで余談一つ。丹沢山塊は中国の泰山とほぼ同等の規模/高さです。泰山を題材にした漢詩が多く作られていますが、南関東の人ならば丹沢山塊を思い浮かべると規模の雰囲気を掴みやすいかもしれません。

04_fuji
大室山と富士山
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山頂の紅葉
06_sanchou
山頂の紅葉

もう一つ余談。山頂直下(薬王院寄り)のトイレ、特に女性用のそれにはなんだかすごい行列が出来ていました。混雑時、急ぐ人は、山頂の反対側=奥高尾方面へ一旦下り、5号路との交差点となっている鞍部から僅かに登り返したもみじ台の先にあるトイレへ向かった方が時間的には早いこともありうるかと思われます。

さて富士と紅葉をたっぷりと堪能し、下山。薬王院方面へ進みます。すごい数の人が上がってくるので、うまく進めないこともありました。ま、季節や天候、時間帯等の条件を考えれば仕方の無いことやもしれません。のんびり行きます。やがて薬王院を成す建物群が現れ、色づいた葉っぱも現れ、煙が漂い、天狗は威嚇し、三脚が生えます。光浴びる紅葉、仏舎利塔周辺も含めて見事でした。

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薬王院付近の紅葉
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薬王院付近の紅葉
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薬王院付近の紅葉
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仏舎利塔付近の紅葉
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仏舎利塔付近の紅葉
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仏舎利塔付近の紅葉

その先。浄心門から3号路に入り、僅かに(上から来ると、少し戻る方向へ)下った所で分岐している、琵琶滝への道に入ります。初めは山腹を行く緩やかな道、やがて所々岩や木の根の露出した急な道。区間としては短いものの、その急さ加減にへこたれてしまった人達が途中で沢山休んでいました。この道を登りたい人は、急だと覚悟してゆっくり行った方がいいです。因みに入口は琵琶滝直下にある橋を渡った所。登ってって3号路にブチ当たったら、左へ進めばそのまま緩い山道を延々とてろてろ歩いて山頂下に出ます。右へ進むとちょっと登ってすぐ浄心門、表参道(1号路)です。

琵琶滝から下は6号路に合流します。登ってくる人が多く、すれ違うのがちょっと大変だったりもします。でも、除けて待っていると挨拶してくる人もいました。山登りする人なんでしょう。服装や靴もそれなりです。高尾山だからと言ってあまり油断せず、装備もそれなりの・・・いや、そもそも「高尾山程度なら」と甘く見る可能性のある人は山登りをする人に多いでしょうか。そうでない普通の(観光客の)人は、多分甘くも辛くも見ていないことが多い。多摩動物公園へ行くのと同じような気分なのかもしれません。

やがて舗装路に出て、左の(ケーブルカー脇の土手に植えられた)もみじか何かを見ながらちょぼちょぼ歩くと、ケーブルカーの下の駅に到着。そこの広場はすごい人でした。横幅十人くらいの列がケーブルカーの改札からまっすぐ高尾山口駅方面に延びていて、その最後尾はムササビの銅像付近。係の人の話によると、待ち時間は五十分程だそうです。歩いて登った方が時間的には早いかもしれません。しかし、どう見ても歩いて登る可能性は考慮されていないといった装備の人も少なくありませんでした。待つしかないんですね。ガンバレ。

んで、その先の道も当然人出が凄いことになっていて、たまたま特急だか準特急が到着したからなのかそうでなくともずっとなのかは不明ですが、高尾山口駅付近では人の濁流に押し流されそうになりました。遭難寸前。因みに、大晦日から元日に掛けても人が多すぎで疲労凍死しそうになるそうです。要注意。

13_hito
ケーブル駅前広場の人人人

おしまいに一つ。稲荷山コースで、腰に着けるポーチからデジタルカメラを落としてしまいました。手が微妙に当たったか何かしてポーチから飛び出し、道の南側の葉っぱを被った急斜面にかこーんって落としてしまったようです。初め自分が石か何かを蹴ったと思ってしばらく進んじゃったので、気付いて戻って探してもすぐには見つかりません。葉っぱに埋もれてしまったのかもしれません。鞄を道脇に置き、高尾山口駅に着くまで着ていた長袖のシャツを再び着、手袋も着けてから薮っぽい急斜面をずるずる下って探しに行くと、通り掛かりの人が「なんだ、どうした」とばかりに気に掛けて下さいます。いや、お気になさらずどうぞ、と言ってもおばちゃん軍団を中心にわらわら寄ってきて、みんなでわやわや言っています。

どうしよう、カメラを見つけないことには私は永遠に道へ戻れないかもしれない・・・と思い始めたその時、初めに立ち止まって声を掛けて下さったご夫婦の奥さんの方が、半分葉っぱに埋もれた私のカメラを上から見つけてくれました。「あ!あれじゃない?」びんご。すげい。因みに無口だった旦那さんの方は、頼みもしないのにずるずる急斜面を下って探しに来てくれてました。。。「山屋」上がりの方だったんでしょうね。何気なく軍手を着けてましたし、普通の「ハイキング客」級だとあの斜面には入りたがらぬことが多いかと思われますゆえ。

これでもかと言うくらいお礼を言いました。カメラは崩壊せず電源も入り、まだちゃんと使えそうです。それより何より、通り掛かったというだけで見知らぬ(目に優しくない風体の)私の為に時間と労力を割き、(旦那さんの方は身の危険まで犯して)一緒に探してくれた気持ちが嬉しかったです。一緒に探してくれたご夫婦、ありがとうございました。お陰様でその後、あの安物カメラには荷が重いとしか思えない程の見事な紅葉の写真をいっぱい撮って帰れました。

m(_   _)m


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