created: 2003.08.28
時刻 | 場所 | 歩数 |
---|---|---|
04:55 | 御殿場口駐車場 | 0 |
05:05-05:15 | 二合目(新五合目) | - |
06:05-06:25 | 二合五勺(新五合五勺) | - |
07:25 | 四合目 | - |
08:15-08:25 | 五合目 | 10269 |
09:20-09:30 | 六合目 | 12917 |
10:05-10:20 | 七合目 | 15208 |
11:15 | 七合九勺(赤岩八合) | 17578 |
11:35-11:45 | 八合目 | 18664 |
12:50-13:05 | 山頂(銀明館) | 21496 |
13:20-14:00 | 剣ケ峰 | 22500 |
14:10 | 下山開始(銀明館) | - |
14:35 | 八合目 | 25790 |
15:00-15:07 | 七合五勺 | - |
15:12 | 七合目 | - |
15:30-15:45 | 宝永山頂 | 30600 |
16:13-16:18 | 二合五勺(新五合五勺) | 33344 |
16:40 | 二合目(新五合目) | - |
16:45 | 御殿場口駐車場 | 36230 |
梅雨が明けたのを見計らって(気象庁発表のそれではなく、実質的に。)、富士山に登ってきました。今回は御殿場口から。長くてたいへんとの噂もある登山道です。登る標高差は約2300m。全く以て長くてたいへんそうな数字だ。
夜明け前、車でぶいぶい登る県道23号からは、正面の闇に一層濃い闇という形で富士山が見えます。その左のスカイラインには富士宮口登山道沿いの、右のスカイラインには吉田口/須走口登山道沿いの山小屋の明かりが疎らな列となっていました。写真に撮りたかったけど、暗すぎて私のデジタルカメラではダメダメ決定なので撮りませんでした。見たい人は天気の好い夏の夜に行って下さい。ちょっと幻想的な光景です。
日の出ちょい前に登山口へ到着。駐車場はいくつもありました。全部で七百台程の収容能力があるそうです。でも、止まっていたのは約十台。噂には聞いていましたが、どうやら本当に不人気の登山口らしい。好天なのに静かな登山を楽しめそうです。やった。暑くなりそうなので、飲み物は合計3リットルくらい持ちました。
登山口の標高は約1440m。一合目と二合目の間です。が、「新五合」とか称されています。誤解招きなのでちうい。日の出を待たずに出発。十分程で、二合目にある「大石茶屋」へ到着。昇る真っ赤な太陽を見ていると、茶屋のおばちゃんが出てきました。「……登るの?」「ハイ。」やはり、ここから登る人はあんまり多くないようです。
凍った世界溶かす太陽。 | こんどはまちがえないぞ。 |
赤い陽を頭の上の方から浴びて染まりゆく富士を正面に見据えながら、いよいよ気合いを入れて登山開始。道端には、フジアザミやらオンタデやら、種類は少ないけど花が咲いていました。こんな火山礫の地べたによくもまあ生えるもんだ。その生命力に感服。
一時間程で新五合五勺(標高約1920m)に到着。でも実は二合五勺です(以下、紛らわしいので、合数は古いものを使います)。ここまでややぢゅるぢゅるの登りをずんずん来たせいか、久々に靴擦れの予感。「マメ・靴ずれブロック」を取り出して貼りました。その間に、下から追い上げてきた若い男性二人組に追い付かれました。この後、この二人とは前後しながら登ってゆきます。
富士とフジアザミ。 | 二合五勺の廃墟。 |
道はじゃりじゃりです。気分的には、須走口の下山道を登ってるような感じ。陽はじりじり照りつけ、汗だくだくになってゆきます。辛い登りになりそう。でも、そういう覚悟で来ていたので、気持ちの上でめげることはありません。富士山の雄大な景色は素晴らしいし、やがて眼下には山中湖なんかも見えてきました。
じゃりじゃりの足元。 | 三合目の廃墟。 |
二合五勺から一時間程で四合目に到達。標高2310m、ブルドーザー道を横切る辺り。ここには廃墟はありませんでした。や、昔は何かあったのかもしれませんけど、痕跡は見出せませんでした。じゃりじゃり道は容赦なく続いています。登り始めてから既に二時間半程経過していますが、富士宮口登山道で言うとまだ五合目の駐車場より低い位置です。あはは。先は長いのです。
四合目から一時間弱、五合目らしき場所に着きました。標高は2595m程、金峰山頂と同じくらい。ここにはちゃんと廃墟があります。ちょっとずつ山頂が近寄ってきて、登ってるなぁという実感もあります。しかし、道はじゃりじゃりで汗はだくだくなのでした。先はまだまだ長そうです。
眼下の山中湖。 | 五合目らしき所の廃墟。 |
標高2770m付近で廃墟を一つ見送り、五合目から登ること約一時間、六合目に到着。標高は約2830m、八ヶ岳の横岳頂上と同じくらいですか。ここには、廃墟の他に六合目を示す標が立ってました。いつの間にか雲の中に入ったようで、涼しくていい気持ちです。でも、景色が見えないのはちょっと残念。しばし休んでまた登ります。靴擦れがちょっと痛くなってきました。うーむ、じゃりじゃり道が続いたからなぁ。
六合目手前の廃墟。 | 六合目の廃墟。。。 |
六合目から先はちょっと歩きやすくなりました。霧の中をずんずん登ります。三十分ちょっとで七合目に到着。標高は約3040mかしら。南アルプス仙丈ヶ岳よりもちょっと高い位ですね。人の気配がします。ようやくここで生きている山小屋に出会えた・・・と思ったら、小屋の修繕をしている工事の人だけでした。ええと、もう営業おしまいになった後ってこってしょうか。早いですね。
更にちょっと登り、標高3110m程の七合五勺に到着したのは出発してから六時間近く経った頃でしょうか。北アルプスの涸沢岳と同じくらい。今度こそ本当に、二合目以来の「人の居る」山小屋がありました。山小屋の人に軽く挨拶して通過。何やら、「バイオトイレ」みたいなものを作っている最中みたいでした。
七合目、もう終わってます。 | やっと営業中の小屋が。 |
先へ進みます。この日の中では一番登りやすい感じの道を上り、廃墟を二三見送って、七合九勺の「赤岩八合館」へ。標高は約3310m、既に国内二位の高峰(南アルプス北岳:3192m)を超え、比すべき山は日本にはありません。やった。ここでも山小屋の人に軽く挨拶し、八合目を目指します。
廃墟。七合八勺? | 赤岩八合@七合九勺。 |
八合目の小屋は、廃墟のように見えました。標高約3410m。そして、ここからが試練でした。ごろごろ石の道。半端じゃなく歩きにくい。危険という訳ではないのですが、置いた足が安定せず、へばった身体の力をがしがし奪ってくれやがります。今までに私が歩いた雪の無い山道では最も歩きにくい道なんじゃないでしょうか。
八合目。廃墟? | 魔のごろごろ石。 |
御殿場口は大変だという覚悟の下に登ってきた私。それでも、この最後の登りはきつかった。靴擦れのこともありますが、それがなくても恐らくここはきつかったはず。写真をいっぱい撮りながら登ったこともあって、コースタイムを有意に上回るのろさでちんたら来ました。ペースとしてはゆっくりめのはず。でもきつかった。須走口の下山道を頂上まで登る方が楽そうです。
そんな中、ふと足元を見ると見慣れぬ蝶がいました。大きくて、きれい。後で調べたら、ミヤマカラスアゲハという蝶のようです。寒くてあんまり動けないらしく、カメラを寄せても全然逃げませんでした。蝶も頑張って生きてるんでしょうね。私も頑張ろっと。
ミヤマカラスアゲハ。 | たぶん雄です。 |
八合目から一時間、登山開始からだと八時間近く掛かって、ようやく山頂へ。やー、疲れた。写真200枚くらい撮る時間(一枚20秒として、4000秒=約67分)を除いたとしても、昭文社「山と高原地図」のコースタイム(六時間二十分)通りには歩けませんでした。このコースタイム、ちょっと厳し目の設定?山歩きに慣れていない人は、初めての富士登山挑戦でいきなり御殿場口日帰りとかを企画しない方が無難やも。
銀明館、もう終わってます。 | 一歩3m余?ホントかなぁ? |
びゅうびゅう風の吹き荒ぶ中、ゴアテックスの雨具(上)を着ておにぎりを食べました。その後、こないだ登った時は見送った剣ケ峰へ。富士宮口と御殿場口は山頂に上がった所が剣ケ峰のすぐ近くなので、比較的楽です。やや歩きにくい道を15分程登り、到着しました。遂に3776m。やった。因みにここまでで、万歩計の数値は22500程でした。夜叉神峠から観音岳までの約20000歩という登り区間の記録を更新したもよう。
その後しばし休みつつ、霧が晴れて噴火口内部が見えるのを待ちました。こないだとは反対側から眺めてみたかった。で、待つうちに晴れました。やった。有名な虎岩や、こないだ立ち寄った山小屋群なんかも見えます。しかし、帰りの時間や残りの体力を考えて、「お鉢巡り」はまた次回以降へ持ち越すことにしました。
剣ケ峰への道。 | そこな雲。 |
山頂の二等三角点。 | その説明。 |
久須志〜大日〜伊豆岳。 | 白山岳。 |
いよいよ下山。来た道を戻り、銀明館の所から下ります。しばらくは登山道と同じ道ですが、下りは気楽なもんだ。ごろごろの歩きにくい道も、下る時にはさほど苦になりません。もう完全にへばってそこらに寝転がってる登山中の若い男の子二人を「あと十五分くらいだから頑張ってみたら。」と励ましたり、白人の家族連れとこんにちはを言い交わしてすれ違ったりしながら、ざしゅざしゅ下ります。
八合目までの間に、白人一家数組とすれ違いました。どの家族も、おとうさんは日本語でこんにちはと言う。おかあさんは言えたり言えなかったり。子供はダメです。多分、きつい登りでへばっている上に、ニホンゴなんかシラネーヨ!といったところかと。もし私が彼らを見るだけでその話す言葉が何か分かったら、「ぐーんんたーく」とか「ぐっだい」とか「ぼんじゅぅ」とか彼らに合わせて言えるのにな。そしたら、あのすごい可愛い子供達も笑顔で応えてくれるかもしれないのにな。そんな事を思いました。見ただけでは彼らが独逸人なのか濠太剌利人なのか仏蘭西系加奈陀人なのかその他なのか、私には分からない。ちっと残念でした。えーと、亜米利加人だったら何て言えばいいんでしたっけ?「ぐっだい」じゃなくて、えーと、んーと・・・あそうだ、「へろう」か。変わってますね。日本語も独逸語も仏蘭西語も昔の英語も「今日は好い日ですね」みたいなことが日中の挨拶になってるのに、「へろう」だって。意味わからんちん。
すれ違ったと言えば、こんなことも。
話を戻します。自分の下山、まだ八合目くらいでしたっけ。銀明館から一時間程で七合目、下山道への分岐。ここまでの間に、ちっと雨が降ってきました。一応雨具は着っぱなしで出発しましたが、ざしゅざしゅ下るとやや暑いので脱ぎました。途中、七合五勺の山小屋で、人のよさそうなおっちゃんに宝永山に行く道への分岐はもっと下かと確認しました。その時そこいらは完全に霧に覆われていたので、何も見えないからやめた方がいいと言われました。
七合目下の下山道分岐辺りで、霧が晴れてきました。やめにしようと思っていた宝永山へ立ち寄ることに決定。ここからが所謂「砂走り」下山道となります。須走口下山道の砂走りよりも砂が深く、ごろごろ岩も少ないので快適です。ざっしゅざっしゅ下れました。
下山道の分岐地点。 | 砂への潜り具合。 |
分岐地点から二十分程で宝永山頂へ。山頂は何だか荒れてました。訪れる人も少ないのでしょうか。私の行った時には、富士宮口への分岐までは他の下山者も幾らか居たものの宝永山頂まで行く人は居ませんでした。お陰で荒れた山頂独り占めだい。富士山頂方面に雲がかかっていて見渡せなかったのが残念。でも、富士宮口の山小屋や登っていく人の姿などが見えて楽しめました。
宝永山への道。 | 宝永火口。 |
十五分程休み、再び砂走り開始。富士宮口への分岐地点から御殿場口下山道への短絡路があるので、そこを下ります。すぐ先で御殿場口下山道に合流し、そこからは本気で下りました。「一歩3メートル余り」にちょうせんだ。砂は深く柔らかく、普通に大股で歩いても一歩2mくらいです。で、走ると、確かに3mを超す歩幅での下山が可能でした。スピードを上げれば4mくらい行けます。うぁはははは、おもしれえ。思わず顔がほころんでしまいます。
しかし。いくら可能だと言っても、そのような歩幅で進むには「走る」必要があります。走るのは疲れます。そんなに急ぐ旅でもないので、途中からは普通に大股で歩くにとどめました。と言っても一歩2mくらいです。速い速い。宝永山頂から三十分弱で二合五勺に着いてしまいました。
砂走り下山道。 | 再び三合目の廃墟。 |
その先は砂が浅くなり、それまでのようには下れません。先刻ちろっと書いた「だいじょぶか?」なおじさんとしばし話したりしつつ、なるべく砂の柔らかい所を探しながら地道に下りました。二合目の大石茶屋に着き、休んでいる他の下山者を見送って小走り気味に最後の400m(距離)を下り、山頂の銀明館から約二時間半で駐車場に到着。はやいもんだ。でも出発からは十二時間近く経っていましたので、日帰り登山としてはそこそこの長さ。万歩計は36230歩でした。合計では夜叉神峠東登山口から観音岳往復の39674歩、大清水小屋から燧ケ岳往復の40801歩に及ばず。下りの歩数が少なすぎですね。
営業中の大石茶屋。 | もうすぐ駐車場。 |
駐車場で帰り支度をしていると、登る時に大分一緒だった&山頂ですれ違った二人組が挨拶して先に帰りました。練馬ナンバーのスカイラインでした。車は雨に濡れていましたが、やがて晴れてきて、また富士山が見えたりもしました。朝と夕方だけ晴れてる富士山頂。。。ち。
富士の向こうに | 陽は沈み・・・ |
そんなわけで、大変だったけど怪我も無く楽しい登山でした。今度は吉田口(馬返の駐車場)あたりから登ってみようかな。
富士山(南東) | 須走(南西) |
天母山(北東) | 印野(北西) |