Rjの登高漫歩
山歩記 - 小楢山(2004.05.02)

last modified: 2004.05.08


概略

経路(標高) 地形図
オーチャードヴィレッジフフ(830m)〜母恋し道分岐(1240m)〜小楢峠(1640m)〜小楢山〜(1713m)〜一杯水(1630m)〜小楢峠〜幕岩〜大沢の頭(1675m)〜父恋し道分岐(1240m)〜フフ Couloir 45l #2500G 川浦 (南西)

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

静かな石仏の山

chiisai hana黄金週間の最中、奥秩父の外れにある小楢山(こならやま)に行ってきました。主脈から外れているし、標高は低めだし、お手軽に登れそうなので今まで行く機会がありませんでしたが、たまにはこういう所へも足を伸ばしてみたいものです。殆ど標高差の無い焼山峠からのピクニック客が多かった山頂付近を除くと、静かで趣のある山歩きを楽しめました。

出発は、南東側の麓にある「オーチャード・ヴィレッジ・フフ」という宿泊・飲食施設の駐車場。ちょっとした高原のような場所で、なかなかいい雰囲気です。歩き始めからしばらくは林道を行きます。通常、林道歩きはつまらないものですが、ここは他に歩く人もいないし「ちびT」やら何やらの鳥達が啼きまくっていて、割と楽しかったです。

一時間程歩くと、「父恋し道」「母恋し道」の分岐です。更に上へ延びる林道を見送って、母恋し道へ入ります。やっと山道。奥秩父らしい雰囲気のある、歩きやすい穏やかな道でした。道端には色々なスミレや咲きかけの二輪草なんかが沢山あって、いかにここを歩く人が少ないかを示しているようです。人が多かったら、花も踏み荒らされてしまいますからね。黄金週間真っ最中だというのに、小楢峠まで殆ど人には会いませんでした。

sumire 1
スミレその一。
sumire 2
スミレその二。
sumire 3
スミレその三。

あまりにものんびりした気分で歩いていたので、峠に着いて集団登山(ピクニック?)の人が山頂方面から降りてきた時にはちょっと馴染めませんでした。先頭の男性(多分副隊長)がすげえでかい声で何か喚きながら通りました。最後尾の若い女性(多分隊長)が足袋を履いた寡黙な人だったのは救いでしょうか。

峠からゆるりとした斜面をのろりと登ると、すぐに開けた山頂へ出ました。分岐からのったり来て二時間程。山頂にはピクニックの人が幾らかいました。礼儀を知らない(ぶん殴りたくなるような)中年男性が馴れ馴れしく無礼な言葉遣いで話しかけてきたりもしましたが、ぶん殴らないで我慢しました。天気は好く、展望の開けた南側は霞に埋もれて殆ど何も見えなかったけれど、北側の木々の隙間から見える奥秩父主脈(金峰山から続く稜線)はばっちりでした。あっちも今ごろ人がわらわらいるんだろうな。

そこでお昼ごはん(春雨スープ)を食べ、お昼寝したい気持ちを抑えつつ来た道とは反対側へ少し下って、「一杯水」という所へ行きました。予想された通り、水は殆ど枯れていました。この道は焼山峠からのピクニック道なので、人がわらわらいて大変です。小楢峠への巻き道でも、沢山の人とすれ違いました。峠からちょっと先にある「幕岩」まで往復して焼山峠に戻るピクニック客が多いようです。

幕岩方面へ進む途中、ストックの石突きカバーを失くしてしまいました。これで二つ目。今度は、抜けにくいシナノのカバーを使おう。進むうちに道はやや険しくなり、幕岩が近づいたことを知ります。ずいずい行くと、目の前に大きな岩峰が現れました。これが幕岩かあ。思ったより大きく、規模としては金峰山頂の五丈岩と同じくらいあります。

幕岩の上へは手前側からも登れそうでしたが、岩の右を巻いて付けられた道を進むと、岩を半分以上廻り込んだ辺りの切れ目に鎖がぶら下がっていました。天気も好いし、登らない訳には行かないので登ります。凍結箇所も無く、鎖は不要でした。登った先はやや平らになっていて、なかなかの眺めです。先刻までいた小楢山頂も見えるし、その向こうには乾徳山から黒金山、そしてその左には奥秩父の主脈稜線が見えます。もっと左を見ていくと、大菩薩連嶺。あっちも今日は人がわらわらなんだろうなあ。

makuiwa
幕岩(部分)。
konarayama
幕岩から小楢山。

しばし景色を堪能し、下に戻って先へ進みます。すぐ先に大沢の頭というピークがあって、そこから父恋し道が分岐しています。南の妙見山への道も(導標があり)しっかりと続いていて、行こうと思えば行けそうでした。

shinryoku父恋し道は、昭文社の「山と高原地図」シリーズでは赤破線(難路)になっています。恐らく、歩く人が少ないという感じなのでしょう。一部、ちょっと崩れかけた箇所があった程度で、特に危険度の高そうな道ではありませんでした。この日歩いた中では一番奥秩父らしい、ごろごろ転がる巨石に苔の生えた深い森。と言っても、この時期ですからまだ落葉樹は芽吹いたばかり。明るい新緑の中の下りでした。

やがて地中に隠れていた沢が現れ、小さな滝が連続しています。しかし、少し下にある白雲の滝というのを最後に、沢は再び地中に隠れてしまいました。この辺りには石仏が幾つもあり、名前のついた奇岩も幾つかあります。ちょっとした観光スポットのような雰囲気ですが、私の他には誰もいませんでした。踏み跡を見る限りでは、この日私より先に恐らく二、三名は下っているはずですけど、まあそんな状態です。捻挫して動けなくなっても次の日まで誰も来ないかもしれないといった事を考えると、確かにある種の「難路」なのかもしれません。

やがて予想した地点よりも手前で林道に出て、林道を少し下ると朝見送った父恋し道への分岐に戻りました。林道が延びているのには何か理由があるのでしょうけれど、何だかちょっとがっかりな程の延び具合でした。その林道を一時間程下り、駐車場に戻って無事に山行を終了。万歩計は15641歩。帰りに、近くにある鼓川温泉の日帰り入浴施設に寄りました。いいお湯でしたとさ。

sekibuts
石仏。
rindou
延びる林道。

Rjの登高漫歩: http://rj-chaos.sakura.ne.jp/swampyhatto/swampyrj/
Copyright (C) 2004-, Rj. All rights reserved.