last modified: 2004.06.24
経路(標高†) | 鞄 | 靴 | 地形図 |
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道の駅みょうぎ(430m)〜きんけい橋:登山道入口(480m)〜一本杉(720m)〜石門入口(730m)〜第四石門(850m)〜見晴台(860m)〜第四石門〜本読みの僧(700m)〜第二見晴(670m)〜大黒の滝(660m)〜第一見晴(580m)〜妙義神社(500m)〜道の駅みょうぎ | Couloir 45l | AXS GTX | 松井田 (北西)/南軽井沢 (南東) |
†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。
奇岩で知られる西上州の名山、妙義。以前、知人に連れられて紅葉時の表妙義縦走をしたことがありますが、今回は別の知人三人(当初の予定ではもう一人多いはずだったけど前日発生した問題により同行断念無念)を連れてのんびりと石門巡りのお散歩コースに出かけてみました。白雲山から金洞山へ繋がる稜線を歩く縦走路は、険しい岩場が多いのであまり一般向きではありません。一方、石門(岩に穴が開いて門のようになった地形)を巡るコースや山腹を行く妙義中間道には危険な箇所も無く、一般向きです。こちらは小学校の遠足コースにもなっているそうな。
当日の天候は薄曇り〜晴れ。出発は妙義神社の下にある「道の駅みょうぎ」です。登山者はもっと下にある登山者用駐車場に車を止めろと書いてあったので、道の駅の大きな駐車場は埋まりそうもない時期だけど一応下の駐車場に車を止めました。そこから階段を登って僅かで道の駅に出ます。正面には「大」の字がある白雲山。表妙義山塊を模したと思われる黒いトイレに寄り、神社の大きな鳥居を潜って歩き始めます。
最初に妙義神社へ寄ってから行くのが定番なのかもしれません。しかし、私達はそれを省いて(帰りに寄るから)、長い長い石段を登る前に左へ逸れました。旧有料道路を短絡し、ふれあいプラザの先で旧有料道路に合流。そこからきんけい橋方面へ進みます。正面には時折金鶏山が見え、梅雨時なので車も少なくのんびり歩けました。車道に出てから三十分程で登山道入口(一本杉方面への道)に到着。
道の駅のトイレと白雲山。 |
神社手前にあった案内図。 |
道端の花。 |
旧有料道路から金鶏山。 |
森に入り、やっと舗装路から解放され、気持ちの好い道を緩やかに登ります。でもあちい。早々に汗だくです。今回連れて行った知人三人の内、二人は普段山歩きなどせぬ人達だったので、登る時の足の使い方などをちろりと教えつつ進みました。二人、放っとくと大股で速いんですもの。。。そのまま踏破出来る脚力の持ち主ならよいのですが、慣れない人は小さい歩幅でゆっくり行くのが吉です。
四十分程登ると、ちょっとした休み場に出ました。机と椅子と大きな灯籠と杉の木があり、前には金鶏山が見えます。何も書いてありませんでしたが、ここが「一本杉」と思われました。眼前の尖ったピークが「筆頭岩」。昔は筆頭岩へ登るルートがあったようですが、今では登山禁止だそうです。崩れるんですかね。ここいらの山は侮れません。
きんけい橋付近の登山道入口。 |
こんな森を歩きます。 |
一本杉から金鶏山筆頭岩。 |
一休みして出発。すぐに再び先程の車道に出て、僅かで石門入口に到着。いよいよ石門巡りです。最初に目指す第一石門は、下の車道からも見えます。車道のすぐ上には巨大な岩壁。これは「屏風岩」でしょうか。これから歩くのが観光お散歩道とは言え、山は天然の本物ですから、なかなかの迫力。楽しみになってきました。因みにここまで他の登山者には会わず。ここからは他の観光客が登場します。
石門への道に入ると、すぐに鎖場があります。と言っても短いもので、「かにのこてしらべ」と書いてありました。名の通り、小手調べ。ここを含めてコース中の岩には足場が刻んであり、鎖には頼らなくても通れます。鎖は揺れるので、むしろ慣れない人ほど鎖に頼らず進んだ方が安全かもしれません。「三点確保(三点支持)」という言葉の意味を理解し、現場ではその基本を守るようにすると尚安心です。
こてしらべが終わると第一石門が間近に迫ります。不思議な造形です。これをくぐって更に先へ。道は登りですが、大した標高差は無いのであまり体力に自信の無い人でも大丈夫でしょう。すぐに第二石門の下へ着きます。そして、そこにあるのが「かにの横ばい」と呼ばれる岩場。
旧有料道路から第一石門。 |
第二石門。直登も可能。 カニの横ばいは左から。 |
かにの横ばい。 |
ここは、まずががっと登り、その先の岩の斜面を横切る鎖場です。ががっと登る所は先程の「かにのこてしらべ」級、横切る部分は特に力を使って登るわけではない&例によって足場が切ってあるので、普通に歩けます。但し、向かって右側がちょっとした崖のようになっているため、恐がりの人はここで恐がることになるようです。今回、同行者の一人が恐がりさんでした。。。恐い人は、鎖を手繰りつつ名の通りカニさんのように崖に背を向けて横ばいするといいのかもしれません。
蟹の横バイが終わると、そのすぐ上が第二石門です。狭い岩の隙間を抜け、「つるべおとし」という名の付いた岩溝の鎖場を下ります。ここは長いのですが、斜度も緩いし左右が切れ落ちたりもしていないので、転落しそうといった恐怖からは逃れられるでしょう。心配な人は、背中を後ろに向けて鎖を伝って降りれば恐くありません。
降りた先には「片手さがり」という名の付いた鎖場があります。道が左右に分かれていて、どちらも短いものです。私達は、向かって左の方を行きました。ぷち・かにのよこばい風のトラバースですが、高さが低いのとすぐ下に草木が生えているお陰でカニの横ばい程の高度感はありません。恐がりの人でもきっと大丈夫。一方、向かって右の鎖場はまっすぐ下に降りる感じの道で、こちらは左右を岩等に囲まれています。でこぼこが多いので、猿のように降りようと急いで足を踏み外したりしない限りは安全に降りられるでしょう。
第二石門下部の隙間。 |
つるべおとし。 |
通らなかった方の鎖場。 |
その先で、石門入口付近で分岐した(鎖場を通らない)巻き道と合流します。混雑する時期には、鎖場のある道を登り、巻き道を下り専用とするようです。確かに、第二石門の所でのすれ違いは難しそうですからね。一方通行にしても、鎖場の通過には時間の掛かる人も多いでしょうから、きっと渋滞します。紅葉の時期の休日昼間は悲惨なことになるそうです。幸い、梅雨まっただ中のこの日、私達と同時にここを登っていたのは他に二、三組だけでした。
合流して僅かに登ると、第三石門への道が分岐しています。でも、塞いであって「×」印もペイントしてあります。通行止めだそうです。どこか崩れたのかもしれません。こういった場所には普段山を歩いている人ばかりでなく、ドライブついでに寄る観光客の人も多く来るはずですから、そういった人には危険な状態になっているのかもしれません。ちょっと残念ですが、素直に見送ります。
第三石門への分岐から更に僅かで、もう第四石門前の広場に着いちゃいました。あっけない。と言いつつ、コースタイムでは30分のところを私達四人は50分掛かりました。途中で立ち止まって景観を堪能したり写真を撮ったりしながらだったので、実際に登っていた時間はもっと短いです。ただ、人の多い時期には一時間以上掛かることも考えられます。
第四石門前の広場。 |
第四石門越しに大砲岩。 |
大砲岩の拡大図。 |
広場には他に人も少なく、第四石門の「中」に見える大砲岩やら近くの奇岩/絶壁の類をゆっくり眺められました。あずまやでおひるごはん。今回は人数分の調理をするのが面倒だったので、各自おにぎり等を持参してもらいました。(私はサンドイッチとおにぎりを買ったのですが、普段やらない「車のトランクにしまう」なんてことをやったせいか持ってくるのを忘れてしまいました。知人のおにぎりを一コ恵んでもらって(ありがとう)、あとはカロリーメイト。いつも七箱くらい持ち歩いてるので、足りなくなることはありませんけど。。。)そこで、お湯を沸かしてお茶を飲みました。ティーバッグのほうじ茶。おにぎりにはお茶が合うでしょう。
しばし休み、やかましい中高年の大集団が来たのでそろそろ出発することに・・・と思っていたら、彼等は「10分休憩!10分休憩!」とのことなので、彼等を見送ってから動くことにしました。ここから「関東ふれあいの道」になっている妙義中間道が始まります。彼等はそちらへ進みそうな雰囲気。私達もそちらから帰る予定でしたが、ちょっと足を延ばして「見晴台」に寄ってみることにしました。そのくらい間を空ければ、くそやかましい大集団に煩わされることもなかろう、と。
そろそろ動くかい、とストレッチなどをしていると、出発しそうな彼等の中の一名(変なおっさん)が、ものすごい勢いでこちらへ突進して来ました。何事かと思って見ていると、挨拶も無しに私達の仲間の一人に詰め寄ってきて、ぐだぐだ大声で喚きながら勝手にその人のデイパックのストラップを調整しはじめました。おっさん、あんた誰よ?っつーか、私の眼前にあるこの蠢く物体は何?
私は迷いました。その蠢く物体(無礼なおっさん)をどかすべきかどうか。でも、被害に遭っている知人Ko氏その人がどうも穏便に事を済ませたい様子だったので、取り敢えずストレッチを続けながら静観。もう一人の知人Fu氏は必死で笑いを堪えています。残りの一人Ka氏は割とふつう。みんなオトナですねえ。
デイパックのストラップを勝手に調整し終えたその物体はやがていなくなったので、気を取り直して私達も彼等と反対方向に出発。被害者の知人は即座にストラップを元に戻しました。ここでみなさんにお願いがあります。山に行っても、知らない人のデイパックやザックのストラップを勝手に調整しないで下さいね。
見晴台は、第四石門から中之岳神社の方へ数分行った所にあります。崖の上で、この日は薄曇りだった為あまり遠くまでは見晴らせませんでしたが、気持ちの好い所でした。第四石門まで行ったら是非ここへも立ち寄ることをお薦めします。大した距離じゃないです。木も生えていて、崖の際に寄り過ぎない限りは恐かったり危なかったりしません。振り返って仰ぐ金洞山は見事です。
見晴台から金洞山。 |
見晴台からの見晴らし。 |
しばらく景色を堪能し、見晴台を後にして第四石門に戻ります。また別の中高年ハイカーの大集団が居たような気もしますが、この辺から先は結構多くの人を見ていますので詳細は略します。後半戦、まずは大砲岩へと足を進めました。
良く分からない案内図があり、道は三つに分かれています。一つは左へ登る妙義中間道、残り二つはどちらも大砲岩へ通じているのか、何なのか。案内図では、どの道も大砲岩に通じていませんでした。ひとまず人が戻ってきた方、向かって右下への道を進んでみます。すると、先を行っていた知人がスズメバチに魅入られました。一応気を付けるように話はしておいたので、落ち着いて対処・・・出来てないし。まず落ち着きなさいってば。
騒ぐとニンゲンの側の興奮は彼等に伝わり、彼等も煽られる形で興奮しがちです。穏やかに話しかけるといい、なんて言う人もいましたっけ。とにかく、急な動きは避け、落ち着いて行動することです。続く知人もびっくりして騒ぎ出したので、なだめすかしてゆっくり後退させます。ハチへの対処よりこっちの方が大変だったりして。橙色であまり大きくなかったので(3cm弱)、きっとキイロスズメバチの斥候ちゃんでしょう。下手に刺激を与えなければ、通常は襲ってくる心配はありません。
しかし何だかみんなびびってしまったらしく、先へ進む気が萎えたようです。仕方ないので、もう一つあった大砲岩へ続いてるかもしれない道を行くことにしました。第四石門の方から来て、まっすぐ進む感じの道です。すぐ先でなだらかな岩場を登る鎖があり、そこを登ると道は鎖場の下りで大砲岩方面へと続いていました。登った所は天狗の何とかと先程見た案内板に書いてありましたが、天狗の何だったかは忘れました。すいません。そこからは、先刻まで居た見晴台にある小さい祠なんかも見えました。
カニのヨコバイ辺りで恐がっていた一人が(スズメバチの偵察もあり)ここいらでちょっと弱気になってきたようだったので、無理に大砲岩へは行かず関東ふれあいの道へ戻ることにしました。鎖場の上から直接そちらへ続く道があり、そこを行きます。すぐに下から上ってくる妙義中間道に合流しました。
そこからは鎖場や蜂の偵察も無く、穏やかな道となりました。と言っても妙義山ですから、左はオーバーハングしている巨大な岩壁だったり右がやや崩れ気味だったりして、普通の山道とは少し雰囲気が違います。痩せまくった枝尾根を鉄階段で下る箇所もありました(稜線で謂う所の「鷹戻し」の東側)。その鉄階段では下から二人登ってきて、すれ違いが結構大変でした。
岩壁右寄りに見晴台の祠が。 |
こんな所を歩いたりも。 |
鉄階段途中からの景色。 |
ちょっとした登り下りを挟みつつ、森の中をのんびりと歩きます。やがて東屋のある休憩所に到着。でも先着の大集団に占領されていたので、そのまま進みます。少し先に枝尾根の延びている所があり、休憩に良さそうだったのでそこで休むことにしました。荷を下ろし、飲み物を飲んで一息。木々をざわめかせる風が涼しくて心地よい。下界は30℃を超えているでしょうか(この日の前橋の最高気温、31.1℃でした)。木々に覆われた山でも、歩いているとあちい。しかし、止まって休むと本当に気持ちの好い時間を得られます。
さて出発。大きな木に囲まれながら徐々に下ってゆきま・・・少し登りました。「本読みの僧」を見て、白雲山方面から下ってくる道を合わせ、車道に下ってゆく道を見送ると、「第二見晴」と思しき展望ポイントに出ました。相変わらず微妙な薄曇りなので、遠くはあまりはっきり見えません。でも、金鶏山なんかはよく見えました。
登りで飛ばしたり鎖場で緊張してしまったツケが回ってきた人もいたようですが、杖を貸したりしつつ更に進みます。少ない水量ながら涼やかな感のある「黒滝(大黒の滝)」を通り、その先には「第一見晴」。少しだけ登り、下界を見下ろしました。ここは広範囲に見下ろせます。もう標高はかなり低いのに、すとんと切れ落ちた崖の上なので視界を遮るものはありません。さすが妙義。
本読みの僧。 |
第二見晴から金鶏山。 |
大黒の滝。 |
第一見晴からの見晴らし。 |
そこから(奥の院や大の字方面への道を見送って)ががっと下ると、もう妙義神社は目と鼻と口の先。神社らしい杉が増えてきて、間も無く神社に出ました。ぷち・東照宮といった感じの、結構派手な神社です。周囲には樹齢200年を超えてそうな大きな杉も沢山ありました。後ろには白雲山。なかなかカッチョイイ神社だと思います。時間と体力に余裕があるようなら、ここから奥の院まで行ってみようかとも思っていましたが、既によれよれな人もいたのでやめました。
そして最後の石段。負担が脚に来ていた人には辛かったかもしれません。でも、怪我をしたりすることなく、無事にここまで戻れてよかったよかった。長い石段の下には、大分前に朽ち果てた大杉の残骸がありました。樹齢1000年級だったそうです。根本付近の周囲、17.7mとか書いてあったかな?すごいもんです。
その下は朝も通った道。ゆるゆると下り、道端に身体をゆさゆさ揺すっているナナフシの仲間(ナナフシモドキ?)を見つけたりしながらちんたら道の駅へ戻りました。お疲れさん。まだ売店も開いていたので、お土産を買いに行ったり行かなかったり。私は荷物を置いて下の駐車場から車を持ってきました。自動販売機の周辺には、おこぼれにあずかろうとするスズメバチが幾つかふよふよ飛んでいました。それが却って彼等の餌獲得の邪魔になっているということは彼等に教えてあげたいところ。あそうだ、万歩計は17771歩でした。出発前に15000歩くらいかと踏んでいたのですが、往路の車道歩きが歩数稼ぎに貢献したようです。
意外と派手な妙義神社。 |
門の天井に居た龍。 |
ナナフシさん。 |
一息ついて、近くのオンセン施設「妙義ふれあいプラザ:もみじの湯」に向かいました。そんなに混んでいなくて快適でしたが、お湯の温度はちょっと高め。っても、源泉は26℃くらいだそうですので、焚きすぎ?まあいいや。たっぷり温まりました。因みに、男湯の露天風呂からは白雲山(「大」の字がある山)がばっちり見えます。紅葉の時期はこのオンセンも人がすごそうです。