Rjの登高漫歩
山歩記 - 日光白根山(2004.10.11)

last modified: 2004.10.19


概略

経路(標高) 地形図
菅沼登山口(1740m)〜金精峠(2020m)〜金精山(2244m)〜五色山(2379m)〜五色沼(2180m)〜避難小屋(2250m)〜奥白根山(2578m)〜弥陀ヶ池(2260m)〜菅沼登山口 Couloir 45l AXS GTX 男体山 (北西)

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

新しめの火山

有名な観光地「尾瀬」と「日光」の間に位置する日光白根に初めて行ってきました。ただ白根山と言うのではなく「日光」と付けるのは、同じ群馬県の草津にある草津白根山とか赤石山脈北部の白根三山(白峰三山:北岳、間ノ岳、農鳥岳)等と区別する為です。日光白根、草津白根共に火山で、草津白根の方は今でもぶすぶす燻っている感じ、日光白根は日光火山群の中で最も新しい火山だそうですが、今は一応落ち着いているようです。白根三山は火山ではありません。(関係ありませんが、北岳の標高を3,192mから3,193mに改めるとか何とかいう話が最近出ています。)

さてその日光白根火山。最近五千年で最低七回の噴火があり、堆積物の様子から最近の三回は水蒸気噴火のみで終息したと考えられるそうな。標高は2,587mと結構高いのですが、基盤岩層が高く、その上に乗った溶岩ドーム(奥白根)自体の高さは300m程しかありません(参考:高橋正樹+小林哲夫著「関東・甲信越の火山I」)。というわけで、この山域では様々な溶岩地形やら火山噴出物を観察出来るそうですが、ここで詳しい話は出来ませんので悪しからず。

さて、登山口は主に三つあります。西側の丸沼(火山の堰止め湖)付近からロープウェイを使うもの、北側の菅沼(同じく堰止め湖)から登るもの、東側の日光湯元から登るもの。私は菅沼付近の登山口から出発しました。で、金精峠〜金精山〜五色山(この山は火山ではなく、その下の基盤岩が盛り上がった所)〜五色沼(堰止め湖)を経て山頂(奥白根と言うようです)を目指しました。菅沼キャンプ場入り口の斜向かいにある登山口に車を置き(奥白根に直登する方:道端に30台以上は駐車可能)、国道120号線を金精峠トンネル(日光)方面に200m程歩きます。すると向かって右側に金精峠への登山口がありますので、そこから山道へ。

事前にwebで調べた範囲だと、この道は笹薮と倒木が酷く歩き辛いとのことだったのですが、笹は刈り払われ、倒木も通常のレベルで特に問題ありませんでした。小雨の降り出した中、しっとりとした空気を吸いながら緩やかな道をのんびりと登ってゆきます。針葉樹の多い道ですが、時折離れた山肌に紅葉した木々も見えて素敵。一時間ほどで金精峠に着きました。

01_tozanguchi
菅沼登山口付近
02_tozanguchi2
金精峠への登山口
03_konseitouge
金精峠と金精山

峠からは向こう側、つまり男体山や戦場ケ原が見えます。峠には数名の中高年ハイカーらしき集団がいて騒いでました。私は写真を撮ってすぐに金精山へ向かいます。ここからは西上州の山を思わせる急登です。初めは尾根をずいずい登ります。やがて道は尾根を逸れ、北西側を巻く形になります。雨はいつの間にか止み、右には青空やら燧ケ岳やら至仏山が見えてきたりして、楽しい道です。短い梯子が幾つか掛かっていましたが、高さにびびるような所はありません。時々、この先の、金精山山頂付近登山道に「亀裂」がありますので、十分注意して下さい。といった看板も出てきますけど、ひとまず亀裂らしきものを見出せぬままずいずい登って行きました。

一歩進む毎に標高を稼ぎ、やがて道が平らになったと思うと間も無く金精山の山頂に着きました。2,244m。日光側の眺めが素晴らしい。男体山の左に大真名子・小真名子やその左の太郎山、そして向こうには尖った女峰山が見えます。楽しそうな山々です。いつかあの稜線を歩いてみたい。男体山の手前には湯ノ湖、右下に中禅寺湖、女峰山の左には那須だかどっかの山々も望めつつ、しばし休憩。

04_kouyou
道端の紅葉
05_kanban
北西側を巻く道
06_hiuchi
燧ケ岳
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金精山の肩から日光連山の展望

出発。少し下り、国境平と呼ばれる分岐を経て五色山に向かいます。後ろを振り返れば先刻登った金精山が独特の姿を見せ、自分はその向こうの温泉ヶ岳と高さを競うようになります。青空に向かって登り、やがて道はだらんとした笹原となり、間も無く五色山の山頂を成すでれんとした広い空間に出ました。ここで初めて奥白根本体が見えます。そしてその下には美しい五色沼、周囲には外輪を成す山々。見事。

08_p-okushirane
五色山から五色沼と奥白根

奥白根の溶岩ドームは比高約300mと言いますが、それでも間近に見るとでかい。こちら側の斜面にはげしょげしょ崩れている部分も見え、荒々しい様子で存在感ありまくりです。そして、左下には避難小屋も見えます。あそこから登るんだな、と最後に登る区間を想像。楽しみ。(実際に登る際は多少「裏側」に回ってしまったようですが。)

しばらく景色を堪能した後、五色沼に向かって降りました。初めは笹原の緩やかな道。小さい池のようなものもあったりします。その後、左へ分岐するやや急な尾根沿いに沼のほとりへ。途中、シラネアオイがどうのという看板がありました。言われて思えば、シラネアオイって白根葵つまりこの山の名産(?)だからそんな名前なんですね。でも、最近ではシカの食害で殆ど見られなくなってしまったそうです。今は季節外れだけど、残念な事実。と言って、シカを責めるのも酷なんでしょうね。

五色沼は思ったより大きなものでした。水の碧が美しい。穏やかな水面と反対側の(奥白根の)荒くれた斜面を見ながら、ここで休憩しました。それまであまり多くは出会わなかった「他の登山者」が増えてきました。丸沼やら菅沼から直接奥白根に登った人がそろそろぞろぞろ降りてくる時間帯に入ったようです。どこでもそうですが、この沼のほとりは人が多いと少ないとで特に印象が違う領域だと思われました。

09_p-goshikinuma
五色沼と五色山

休憩後、沼のほとりを歩いて反対側に行き、そこから頂上を目指して登り始めます。まずは前白根と奥白根とのコル付近にある避難小屋へ、緩い登りです。上から人が鬼のように降りてきます。ややうんざり。十五分程で小屋へ着き、中を覗くと結構立派な造りでした。そこから今度は奥白根を目指して登ります。やや急登。再び、上から人が鬼のように降りてきます。うんざり。それでも、徐々に高度を上げ、段々男体山が見えてきて、やがてその男体山頂を追い越す辺りで道は緩くなりました。山頂付近は独特の地形で、濃い霧に覆われたらちょっと注意が必要な感じ。でも踏み跡はしっかりしているので、雪が無ければ大丈夫でしょう。

やがて人がわらわら屯っている山頂付近の空間に出ました。溶岩ドームの割れ目みたいな急峻な地形と、浅い火口らしきものを持つだらだらなだらかな丘(火砕丘と言うそうです)が隣り合っています。奥白根山頂には、一旦割れ目に降りて進むと辿り着けます。天気は微妙で、晴れ間が見えたり微妙に雲を被ったり。遠くの山々は望めませんでした。山頂で一応写真を撮り、再び割れ目を超えて帰る方向へ進んだ先でおひるごはんにしました。今回はラーメンと雑炊。雑炊の素を持って行ったのですが、味は思ったより良かったです。

10_hinangoya
避難小屋
11_nobori
ずいずい登ります
12_sanchou
奥白根山頂
13_sanchou2
菅沼側から見た山頂
14_kokemomo
山頂付近のコケモモ
15_kraka
雲海とカラス

さて、下山。初めはかなり急な道でした。溶岩ごつごつなので面白い道です。下には弥陀ヶ池やらその向こうの菅沼、丸沼なんかも見えます。距離と大きさその他の関係で、これら三つは並んでいる同等の存在に思えました。実際には、弥陀ヶ池だけが近くて小さい。ちょっと不思議な錯覚です。その弥陀ヶ池を目指して下ります。しばらく急な下りが続き、やがてやや緩くなる頃には先程通過した五色沼も大きく見えて来ました。五色沼から弥陀ヶ池までは、緩い登りで楽に来られるようです。で、菅沼もしくは丸沼発着の多数派は、最短経路で奥白根に登って五色沼経由で降りる、と。いい季節の休日は、この流れに乗らない方がいいと思われます。山歩きしてるんだか何してるんだか分からなくなりそうだから。ヒャクメーザン恐るべし。

山頂から四十分弱で弥陀ヶ池手前の分岐点に到着。奥白根から見て反対側の座禅山方面へ登っていく人がやけに多いと思ったら、ロープウェイ方面へ直接下る道の入り口に「危険」とか何とかいう注意が出ていて、そちらへ下りたい人が迂回してるようです。どっか崩れたのかもしれません。私は無関係にすぐ先の弥陀ヶ池へ下ります。小振りな、静かな池です。ほとりに木道があり、池の水面上を歩く感じになります。五色沼方面から来た人達がぎゃあぎゃあ騒いでいました。

16_gezanro
上の方の道
17_ike
丸沼、菅沼、弥陀ヶ池
18_midagaike
弥陀ヶ池

その先の道は変化に富んでいました。初めは北岳の白根御池付近のような樹林帯のトラバース。その後はごつごつ溶岩の急な道になったり、片側が崩落して付け替えられた道を歩いたり、いろいろ。紅葉も楽しめて、退屈しない道でした。時折休みながら、弥陀ヶ池から一時間半程で菅沼の登山口へ。今回も無事終了、楽しい山歩きでした。万歩計は24075歩。

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弥陀ヶ池付近の道
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紅葉の向こうに菅沼
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登山口近くから滝と紅葉

帰路、国道120号線を穏やかに下り、関越道沼田ICに入らんとする所で車に何か問題が起きました。JAFを呼んだのですが、地方だとJAFの人じゃなくて地元のレッカー業者か何かが来たりすることもあるんですね。色々あって、結局高崎から終電一つ前の新幹線で東京に帰りましたとさ。


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