Rjの登高漫歩
山歩記 - 越後駒ヶ岳(2007.06.18)

last modified: 2007.07.01


概略

経路(標高) 地形図 山域
森林公園キャンプ場(360m)〜十二平登山口(490m)〜グシガハナ(1811m)〜越後駒ヶ岳(2003m)〜グシガハナ〜十二平登山口〜森林公園キャンプ場 Air Master 32 AXS GTX 八海山 [南西]
八海山 [南東]
越後

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

恐るべし、越後の山

前回に引き続き、関越トンネルを抜けて越後の山へ。今回は越後三山の一つ、越後駒ヶ岳に行ってきました。出発は水無川沿いにある森林公園キャンプ場の駐車場。かなりでかい駐車場で、50台くらいは停められましょう。トイレもあります。水はトイレの手洗い用沢水とキャンプ場の水場に引かれた湧水がありますが、水場の水も煮沸してから飲むよう注意書きがありました。

ルートは、駒ヶ岳に西側から直接登る尾根道。と言っても尾根がうにょんと曲がっているので、最初は南東に進みやがて東へと向きを変え最後は北上して山頂に立つ、となります。標高差1500m以上、甘めのコースタイムを足すと7時間20分とかになります。その数字は大袈裟としても、タフなコースには違いないでしょう。

最初は林道を進みます。高低差はあんまり無いので、平地と同じペースでしばらく歩きます。時折脇から滝となって流れ込む枝沢があり、気持ちのいい道です。私の行った時にはもう雪渓の残骸は殆どなく、雪渓がある時に使うというトンネルは通りませんでした。35分程で十二平登山口に到着。車が一台止まっています。林道入り口には通行止めの標識が出ていたので、一般車は入らない方がいいと思います。この車は東京電力とかなんかそういう仕事の人のものかもしれません。

登山口には最後の水場があり、汲めるようになってはいるようですが、水量が少なくそのままでは飲むのが躊躇われるような状態でした。喉乾いて死にそうなら目からヨダレを流して飲めそうないい水ですけど。

最初は急登。朝方とは言え、既に気温は20℃を超えていていきなり汗だくになります。今日は脱水に気を付けないといけないと思いながら、長丁場を考えペースを上げすぎないようにちんたら登ります。セミがしゃーしゃー啼いている。道はよく踏まれていて、特に危険な箇所もありません。ただ、日向に出るとまむしさんが寛いでいたりするので、上方に手をつく際には気を配りましょう。

急登はずっと続きます。適当に休憩を入れつつ、標高1000mを超える辺りから周囲の雰囲気が「高い山」っぽくなっていくのに驚かされます。奥多摩の1000mだったら大方ただの杉林じゃんとか思い、この地の冬の厳しさを想像せずにはいられません。木が曲がってるんですよね、雪の重みで。

途中、「力水」という標識がありました。地図にも表記があり、少し下の谷筋からは微かに水の音が聞こえる。しかし、踏み跡は既に薮に埋もれていました。ここを突き進む体力は本当に必要に迫られない限り湧き出てこないかも。いずれにせよ、この山では出発後に水を確保できない前提で下界から飲み物を持ち込んだ方が無難です。

力水の少し先で見晴らしの良い尾根に出ます。松が生えていて、隣の八海山や向こうの中ノ岳なんかか間近に見えて大迫力です。ひゃー、気持ちいい。しかし、急登の終わりとなる目印「グシガハナ」の頂きまでは標高差にしてまだあと500mくらい登らねばなりません。しかもすごい急登。十二平登山口からグシガハナ往復くらいなら普通の日帰り登山コースなんだろうな、と思います。

それでも汗だくになりながら隣の山や尾根や谷や足元及び道脇の花々を眺めつつがしがし登ってゆき、やがてグシガハナに着きました。やった。ここまで来ると、八海山の最高点よりちょっと高い感じ。でも、目指す駒ヶ岳山頂付近はずっと雲に覆われています。地形の関係か、本当にそこだけ常に雲に覆われている状態でした。眺めを楽しむのはこのグシガハナで最後かな?

しばし休み、先へ進みます。一旦下り、また少し登る。この辺りから雪渓を間近に見たりちょっとだけユキの上に乗ったりしつつ進みます。一応出刃アイゼンを持って行きましたが、使いたくなるような場面はもうありませんでした。タテヤマリンドウとかシラネアオイ、その他わらわらと数限りない花々や雪渓をわたってきて冷えた風が迎えてくれて、非常に気分のよい区間です。程なく中ノ岳からの道と合流し、でかいしまへびさん(1.5mくらいの個体を複数見かけました)に逃げられつつ駒ヶ岳山頂に到着。やった。でもやっぱずっと霧の中でした。涼しくて丁度いいと言えばいいのですが、一瞬でも晴れないかなーと淡い期待をしてしまったのも事実。

登りに掛かった時間は、駐車場から5時間半くらいでした。写真をいっぱい撮ったりしていたとは言え、やはり楽なコースではありません。おひるごはんを食べ、ゆっくり寛ぎ、靴紐を締め直して下山にかかります。因みにここまでは敢えてトレッキングポールを二本使いながら登ってきました。正直言って、道が狭かったり何だりで無い方が楽に登れたと思います。そして下山ではポールを使わないことに決めていました。使った方が多分楽ですが、敢えて。

山の小さな花たちの写真を撮りまくり(撮る度にスクワット)、雪渓に別れを告げ、グシガハナまで引き返してくると、いよいよお別れよの、という気持ちになります。そこでもしばらく止まって寛ぎました。山の贅沢な時空を去る時はいつでも名残惜しい。そして、脚への負担と気温の上昇を考えると、実はこの日の山行の核心部はここから先なのだと気合いを入れます。

案の定、下りはきつかった。ヤマアカガエルさんやカナヘビさん、相変わらず咲いている花々の写真を撮ったりしたのはいいのですが、運動量が多くものすごい汗かいて、頭から汗の滴がぼたぼたぼたぼたと落ちてきてめがねに溜まり、見えなくなるです。見えないまんま歩いていたら、木の根っこにつまずいてこけました。危ない危ない。その後は面倒でも頻繁にめがねに落ちた汗を拭くようにしました。私の場合登りはのろいのですが、下山時の脚力にはいつもかなりゆとりがあります。しかし、この日はゆとりがなくなりました。ブランクが長かった訳でも大した荷物を背負ってる訳でもないのに、無造作に足を運べる楽な路が殆ど無いせいでしょう。大腿四頭筋を酷使しまくり。

そんな訳で汗だくのよれよれになりながらも何とか無事に十二平登山口まで下山。ここまで山頂から三時間。長い下りでした。飲んだ水分は、登りの分も合わせて3Lくらい。あちかったとは言え、こんだけ飲んだのも久し振りです。それでもまだ体内の水分が足りてない状態。越後の山、おそるべし。加えて言うならば、下山後から翌日まで、大腿四頭筋の筋肉痛に悩まされることになりました。山行って筋肉痛なんて、殆ど記憶にないです。越後の山、おそるべし。。。疲労感と満足感を抱きつ林道を駐車場に戻る途中、東京電力のツナギを来て釣り竿を持ったおっちゃん二人とすれ違いました。これがこの日山で遭ったニンゲンさんの全てでした。

余談。この日は膝の下から裾を切り離せる2wayカーゴパンツを履いて行ったんですが、あちいので膝下のジッパーを半分くらい開けてずっと歩いてました。途中、背の低い笹藪みたいなところも少し通り抜けたりして、多分その時に入ったんだと思います。帰宅後、お風呂から上がったらふくらはぎにマダニが頭を突っ込んでるのを発見しました。調べたらシュルツェマダニというやつ。ひとまず毛抜きでゆっくり頭をひっぱって、「ぷっ」っていう感じで彼女の口吻が皮膚から抜けたです。ライム病の病原体は食いつかれてから1-2日以上経たないと入ってこない場合が多いらしいのですが、しばらく体調観察を続けています。

それにしてもマダニ、すごい生命力です。お風呂に入ったくらいでは死なない。皮膚から抜いた後も普通に動いているので、敬意を表してエタノールに2分ほど浸しました。それでもしばらく動いていて凄いなあと感心していたら、なんとエタノールが乾いてからまた動き出しました。非常識にも程があります。


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