last modified: 2004.07.03
経路(標高†) | 鞄 | 靴 | 地形図 |
---|---|---|---|
【初日】大清水(1180m)〜三平峠(1762m)〜三平下(1665m)〜沼尻(1665m)〜白砂峠(1680m)〜見晴キャンプ場(1420m) 【二日目】見晴〜竜宮十字路〜ヨッピ橋(1398m)〜東電尾瀬橋(1390m)〜見晴〜白砂峠〜沼尻〜ビジターセンター〜三平下〜三平峠〜大清水 |
Alpine Pack 60 | AXS GTX |
三平峠 (北西) 燧ケ岳 (南西) 尾瀬ケ原 (南東) |
†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。
去年の燧ケ岳(2003.07.18)、至仏山(2003.07.20)に続いて三度目の尾瀬。今回は、テントを背負って初めての幕営に挑戦しました。山へは登らず、尾瀬沼と尾瀬ケ原をちんたら歩く旅です。ミズバショウとニッコウキスゲの花期の隙間なので、夏場の週末にも拘わらず比較的人の少ない尾瀬を楽しんできました。
出発は大清水の駐車場。二昔くらい前まではここが沼田側から尾瀬への玄関口として一番人気だったようですが、最近では鳩待峠からの入山いや入原が最も多いようで、遅めの時間でも一番混むバス停前の駐車場には空きがありました。天気は曇り、時折陽が射したり雨が降ったりという状態。ここいらではもう咲いている大量のニッコウキスゲと、僅かに見つけたヤマオダマキらしき花に見送られ、7:30頃出発。
前回ここから燧ケ岳を往復した時には、ずっと林道を行きました。今回は地図に出ている片品川沿いの遊歩道を行ってみることに。バス停のすぐ先にゲートがあり、ゲートから尾瀬沼方面への林道を進むとすぐに道が分岐しています。一ノ瀬休憩所への林道は直進、遊歩道へは、まず向かって右の奥鬼怒林道を行きます。「→栗山48km/川俣26km」という案内板が出ています。
気持ちの好い樹林中の林道を少し進むと、片品川を渡る橋の手前で左に遊歩道らしきものが分岐しています。導標も何もありませんでしたが、地図を見てここだろうと入ってみることにしました。踏み跡はしっかりしていて、時折ピンクのテープによる目印がありました。繁り気味の笹藪の道を進みます。一ノ瀬へ直接続く林道と違って、雰囲気のあるいい道です。
ニッコウキスゲ |
ヤマオダマキ |
奥鬼怒林道分岐 |
一ノ瀬への遊歩道 |
しばらく行くと、左から小沢が流れ込んで来ました。その対岸には一応踏み跡があります。何だか踏み跡が弱くなったような気もしましたが、薮気味の道をそのまま進みました。すると、堰堤が二つ現れました。二つ目の堰堤の所で、踏み跡が希薄になりました。堰堤を超えて進んでいく先は薮、左の急斜面を登っていくのは一応道らしきもの。しばらく考えて、左の急斜面を登りました。
登った所で、踏み跡らしきものを明確に見出すのは困難になりました。そこにあるのはただの笹藪です。ここまで来る途中のどこかで、本来の遊歩道を外れてしまったとしか思えません。んーむ。まあ、距離的には林道もすぐなはずなので、荷物を置いて少し林道側に進んでみました。鹿の多い山によくある獣道よりも希薄な「人の通った跡」らしきものを辛うじて拾いながら。
すると、数十m先でしっかりした踏み跡とピンクのテープを見つけました。やった、いっぱい戻らなくて済むや、と思って荷物を取りに戻り、その見出した道を進むことにしました。しかしここも笹藪気味で、時折ピンクのテープがあるもののやがて踏み跡は希薄になってゆきます。んーむ。面倒になり、すぐ左を並走している林道まで笹藪を突っ切ることにしました。
あまり厳密には確認していませんが、沖ブドウ沢付近です。正規の遊歩道が一旦林道に出るちょっと手前。ここまで一時間。大清水から尾瀬に入るのに、いきなり薮漕ぎを強いられるとは思ってませんでした。。。
林道に出た後は普通に進みます。程なく一ノ瀬休憩所に到着、軽く休んで(いる間に二、三箇所蚊に刺され、慌てて虫除けをつけて)から出発。三平橋を渡ってすぐ、種子持ち込み防止の為の泥落としマットがある所から林道を逸れ、山道に入ります。のったりと登り、急登区間に入り、岩清水で冷たく美味しい水を補給して更に登り、峠へ続く緩やかな木道へと進みました。今回初めてテントを持ったということで、荷物は約20kg。削ればもっと減らせますが、新しいザック(モンベルのアルパインパック60)と自分の脚力を試す意味も含めて敢えてそのくらい背負ってみてます。
一ノ瀬休憩所 |
靴底の土を落とします |
滝 |
岩清水 |
道端の花 |
道端の花 |
三平峠 |
マイヅルソウ |
やがて三平峠を通過。そこまでは微妙に雨の降る天気でしたが、その先では青空が少し出てきて、木々の隙間には尾瀬沼も見えました。てくてく下ってすぐに三平下へ到着。ここまで、遊歩道での薮漕ぎで時間を食ってしまったので、お腹が減りました。お湯を沸かして即席スープを作って飲み、山崎パンの「パリジャン」をちぎって少し食べたりしました(^^)。
道端の花 |
ノビネチドリ |
三平下 |
トイレにいたチョウ |
さて出発。尾瀬沼の南岸を沼尻(ぬしり)に向かいます。ゴゼンタチバナやツチガエルやしっとりとした尾瀬沼や育ちまくったミズバショウやリュウキンカやチングルマやイワカガミやワタスゲやヒメシャクナゲやナガバノモウセンゴケやツマトリソウや樹林の向こうの小沼や何とかスミレ等を見ながら、ゆっくり一時間半以上かけて沼尻まで歩きました。尾瀬沼の写真を撮ったりしながらそこでも休憩。
道端のきのこ |
道端のキノコ |
ミズバショウ |
ゴゼンタチバナ |
尾瀬沼 |
ミズバショウ |
ナガバノモウセンゴケ |
ツマトリソウ |
そこから、白砂峠を経て見晴(下田代十字路)方面へ進みました。初めて歩く道です。咲きかけのコバイケイソウとか、綺麗に咲いたレンゲツツジとか、ミツガシワ、モウセンゴケ、まだ育ちまくっていないミズバショウ、スミレの仲間、ズダヤクシュ、謎の赤いカエル(ヤマアカガエルの雌?)、ハクサンチドリ、その他何だか分からないものも含めて、色々なものを見たり聞いたりしながら歩きました。美しい森です。
沼尻 |
スミレの仲間 |
ヒオウギアヤメ? |
ミツガシワ? |
ミズバショウ |
ズダヤクシュ |
道端のきのこ |
ヤマアカガエル? |
ハクサンチドリ |
道端の花 |
オククルマムグラ? |
ナナカマド |
道端の花 |
イオドマリ沢 |
でんでんむし |
道端の花 |
涼やかな魚止まり(イオドマリ)沢を渡り、燧ケ岳への道(見晴新道)を分け、キャンプ場を示す導標に従って左折すると、この日一番おっかなかったぬるぬるの木道を経て燧小屋の前に出ました。下田代キャンプ場はその左手にあります。見ると、既に20張以上のテントがありました。大賑わい。この日はここから三条ノ滝を見て戻り、湿原を突っ切って山ノ鼻で幕営する予定でしたが、ここまでに時間をたっぷり使ってしまい、とても無理なのでここで幕営することに。燧小屋で幕営料の800円を払い、まだ辛うじて残っていた「良さそうな場所」にテントを張ります。
小川キャンパルの山岳用テント、タイニー2。買ってから部屋で二、三度立ててみていたので、設営は楽ちんでした。テントの下にはレジャーシートを切って作ったシートを敷き、ペグは打たずにそこらにある石を使って・・・と思っていたら、大きな石は希薄。周囲全ての天幕がペグで設営されていたので、それに倣って私も全部ペグで固定しました。やや意外な展開。因みにこの日は(そしてこの場所では恐らく多くの日に)風が弱く、そんなにムキになって固定しなくても大丈夫そうでした。雨もぱらついた程度でしたので、テントの耐風性や防水性についてはまだ限界を見ていません。
テント設営後、腰を落ち着けてゆうごはん。今回は、いつものおひるごはんを夕方に作ったような感じです。まずうどんを市販のたまごスープで食べ、残り汁にごはんを入れて雑炊。おなかいっぱいになりました。次にお湯を沸かしてお茶。ティーバッグですが、ほっと一息。周囲では鴬が啼きまくり。よいものです。ただ、虫が多いので、虫除けは必須。二、三箇所、服の上から刺されちまいました。
燧小屋 |
下田代キャンプ場 |
小川のタイニー2 |
うどん |
やがて徐々に暗くなってきたので、早めに歯を磨いて寝る支度をします。テント内に荷物をぶちまけ、ザックを足の下に・・・敷けない。。。厚くて邪魔です。足の先に、横向きに立て掛けて寝ることにしました。足の下には、座るのに使う折り畳みざぶとん(ウレタンフォーム)を敷きました。リッジレストはいい感じ。気温は高めで15℃前後あり、化繊中綿量600gのカモシカオリジナルシュラフでは暑そうな感じ。
暗くなり、テント内でランタンが必要かどうか分からなかったけどいつも持ち歩いているヘッドランプのLED点灯で十分間に合うことを知り、早々に寝袋に潜り込みました。テントのフライシートは一応閉め、テント本体の出入り口と換気口は虫除け網だけ閉めておやすみなさい。シュラーフザックのファスナーを閉めて寝てしまったら暑くて途中で目が覚めました。開けて寝ると丁度いい具合でした。
四時に目覚ましで起きたのですが、周囲ではもうがやがや騒いでいる人も多く、流石にみんな早いなあと感心。私も起きて、あさごはん。「パリジャン」の残りとスープ等で軽く済ませます。その間、結露してびしょびしょになったフライシートをテント本体の上に裏返して掛け、乾かします。タオルで水気を拭き取っておいたら、結構乾いてくれるようです。
食事を終え、荷物を整え、テントを仕舞って出かける用意をします。テントを張ったまま水や雨具だけ持って湿原を山ノ鼻まで往復して来ようかとも考えましたが、何となく心配なので全部持ち歩くことにしました。ザックはまだ背負い方が決まらず、腰骨の辺りが痛くなったりしてやや苦痛と言えば苦痛。ここら辺は改善の余地がありそうです。
ともあれ、出発。山小屋群を抜け、竜宮方面に向かって湿原の中の道を行きます。いかにも「尾瀬ケ原」という雰囲気ばっちりです。後ろには雲に隠れた燧ケ岳、前には雲から頭を出しそうな至仏山。どちらも存在感があります。歩くうちに雲の状態が変わり、一応辛うじて両山とも上まで見えたという感じです。竜宮十字路までは手元の登山用地図だと30分の道のりですが、鳥のさえずりを聞きながら、色んなもんを見ながら、写真を撮りながら歩いたら50分くらい掛かりました。んー、この分だと山ノ鼻まで行ってくるのはきついかな。。。諦めて、竜宮十字路からヨッピ橋、東電小屋経由で見晴に戻ることに決定。
見晴の山小屋群 |
オゼタイゲキ |
ハルリンドウ |
拠水林 |
前に至仏山 |
後に燧ケ岳 |
道端の花 |
道端の花 |
竜宮十字路付近 |
竜宮十字路付近の池塘 |
ワタスゲ |
レンゲツツジ |
竜宮十字路からの道では、木道周辺のシマヘビやら池塘のイモリ、流れを泳ぐイワナ等、鳥やカエル(とニンゲン)以外の脊椎動物も見ました。ヨッピ橋と東電小屋の間では先日くまが人に襲われたそうですが、生憎この日はくまを見ることは出来ませんでした。残念。でも、代わりにヤマカガシを見ました。また、ここいらから見る景鶴山はなかなか素敵。花やとんぼも沢山。陽が照ってあちくなりました。
シマヘビ |
景鶴山と与作岳 |
ヨッピ橋 |
東電小屋方面 |
ヤマカガシ |
今春の熊出没地点 |
景鶴山 |
東電小屋前の毛虫 |
東電小屋で休憩。大集団がわらわら立ち寄ったり出発したり、結構忙しい場所でした。その先で只見川(沼尻川だったもの)を渡り、色んな花や油の浮いた池塘を見ながら見晴に戻ってきました。ここでも休憩。ここからは、昨日来た道を沼尻まで戻ります。途中に峠を挟みますが、尾瀬沼の方が尾瀬ケ原よりも幾分標高が高く、全体で言うと「昨日は下りで今日は登り」となります。しかし、荷が軽くなったせいか昨日より短い時間で通過してしまいました。
ハクサンチドリ |
尾瀬橋 |
サンリンソウ |
オゼニガナ? |
ツマトリソウ |
ミヤマキンポウゲ |
道端のキノコ |
ミツガシワ |
オゼタイゲキ |
道端の花 |
見晴手前から景鶴山 |
白砂峠 |
見晴から二時間程で沼尻に到着。この周辺、昨日は殆ど全くと言っていい程咲いていなかったハルリンドウ(従来、タテヤマリンドウとされていたもの)が咲きまくっていました。一日でこの変化は凄い。驚かされます。驚かされつつ、そのハルリンドウやらワタスゲのふかふかわたぼうしを眺めながらおひるごはん。ラーメンを作って食べました。陽射しは暑かったけど、熱いラーメンもんまいものです。
モウセンゴケ類 |
池塘のイモリ |
池塘のヤゴ |
ハリブキ |
イワカガミ |
ハルリンドウ |
サジバモウセンゴケ中心 |
ミツガシワ |
ヒメシャクナゲ |
沼尻からナデッ窪方面 |
モウセンゴケ(丸葉) |
ワタスゲ |
その後、尾瀬沼の北岸を巡ります。木道沿いにはカエルも多く、ぴょんぴょん跳んで愛嬌を振りまいています。昨日は咲きそうなものしか見なかったコバイケイソウも沢山咲いていました。コバイケイソウは今まで咲いている所を見たことが無かったので、やった。この草は毎年咲く訳ではなく、いっぱい咲くのは何年に一度とかそういうレベルらしいです。ちょっと得した気分。
やがて向こうに長蔵小屋が見えてきて、沼田街道と合流したらすぐにビジターセンターです。ビジターセンターの前で休んでいたら、センターの横から出てきたおじさん(ビジターセンターの人)が話しかけてきました。私の格好を見て、てっきり燧かどっかに登ってきたものだと思ったそうです。や、昨日大清水から遊歩道・・・薮漕ぎ・・・この汚れはその時のもんでして・・・とかいろいろ話しました。今年は燧の雪が消えるのも早かったとか、オコジョは午後三時半かそこらにならないと出てこないだろうとか、他にもいろいろ教えて貰いました。おじさんありがとう。
カキツバタ? |
ツチガエル |
尾瀬沼 |
スミレの仲間 |
ハルリンドウ |
コバイケイソウ |
コバイケイソウの花 |
むし |
ギンリョウソウ |
リュウキンカ |
ミツガシワ |
長蔵小屋方面 |
ツマトリソウ |
ニジマス |
スミレの仲間 |
ビジターセンター前 |
そしていよいよ最後の行程へと向かいます。ちょっと雨が降ってきました。まずは沼沿いを三平下まで20分。そこから三平峠に向かって登り始めた所で、雨が強くなりました。土砂降りです。濡れて行くのもいいと思いつつ、久々に雨具で雨に打たれたい気もしたので雨具の上だけ着用。気温が高くて登りなのであちくなりましたが、短い時間なので我慢。峠からは下りなので、雨具を着て丁度いい感じでした。ゴアテックス最強。いや、ベルグテックEX等を試さずにそんなこと言うのは言い過ぎかもしれませんけど。
リュウキンカ |
コバイケイソウ |
三平下、帰り道 |
カジカガエル? |
途中、一ノ瀬休憩所で軽く休憩して、峠から二時間程で大清水に戻りました。その間、雨は時折弱くなったりしながらもずっと降っていました。NIKWAXの非防水透湿素材用防水剤「テント&ギアプルーフ」で防水処理したウェストポーチ、防水はほぼ完璧でした。いいぞ。一方、敢えてザックカバーを使わずに雨に晒したアルパインパックは、雨蓋部分が水を吸って濡れた状態。雨蓋の中は湿り気味でしたが、主荷室まで水が染み渡ることはありませんでした。
ヤグルマソウ |
一ノ瀬で休む荷物 |
大清水への林道 |
大清水下の滝 |
ということで、今回も無事に楽しく山行(と言うより散策)を終えました。いろんな花や動物を見ることが出来て、充実した二日間でした。初のテント泊はどうなることかと思っていましたが、安易な場所を選んだこともあって何の問題もなくあっさりとクリア。今後も機会を作ってあちこちで泊まってみたいと思います。
実は今回、最初の薮漕ぎで万歩計を落としてしまいました。ので、残念ながら万歩計の数値は無し。また買えばいいとして、このザックで次回以降どこにどう着けたら落とさないで済むかを少し考えないといけないようです。
花等の名前は調べて分かったような気がする範囲で書いてみましたが、間違っているかもしれません。マチガイの指摘を歓迎致します。また、書いていないものについてご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。(→ mail to Rj)
靴は軽いトレッキングシューズ(Millet AXS GTX)で行きました。二日目の下山後、右足のにくきゅう部分が痛くなりました。山を歩いて、そこが痛くなったのは多分初めてです。荷物の重さが影響したのかもしれません。夜、家に帰って寝る前には治ってましたけど。