Rjの登高漫歩
山歩記 - 富士山:河口湖口(2004.09.18)

last modified: 2004.09.24


概略

経路(標高) 地形図
富士スバルライン五合目駐車場(2300m)〜七合目富士一館(2800m)〜本八合胸突江戸屋(3360m)〜山頂久須志神社(3720m)〜八合目江戸屋(3270m)〜五合目駐車場 Couloir 45l AXS GTX 富士山 (北東)
富士山 (南東)

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

河口湖口初挑戦

Fuji from Kawaguchiko-Guchi 5-goume
富士スバルライン五合目から見える富士山頂は目と鼻の先

今年二回目、通算六回目の富士登山。そして、河口湖口五合目からは初の挑戦です。吉田口馬返からは登ったことがありますので、六合目までが私の未体験ゾーンということになります。今回は、昨年一度須走口から一緒に登ったK氏&Y氏が同行。当初は八月上旬に富士宮口から登る予定でしたが、台風やら何やらで延期を重ね、こんな時期に登ることになりました。

この時期は、いわゆる富士登山シーズンを外れています。2004年の場合、吉田口・河口湖口沿いの山小屋はまだいくつか営業していましたが、七・八月の盛期に較べると色々な意味で制約や危険が多く、普段は山登りをしない&富士登山に初めて挑戦する人達にはこの時期の富士登山はお薦めできません。初心者のひとが行く際には、雪の降る時期にも山を歩く習慣のある人と一緒に、事前&当日には適切な助言を貰いながらという形でお願いします。

登山

さて、出発は午前八時。日帰り登山としては遅い時刻です。帰りに暗くなることを想定して登山用のヘッドランプも準備し(想定しなくても必要ですが)、晴天の中を雲海の上の南アルプスや八ヶ岳や道端で待機するUMAに見送られながら歩き始めます。今回、初めて「金剛杖」を買ってみました。値段は1000えん。長さ約五尺(150cm)、後で測ったら重さは約百三十九匁(520g)でした。木材の表面は特に綺麗に仕立てられている訳ではなく、ばりばりしてます。手の皮膚が繊細な人は手袋を使用した方がいいでしょう。鈴はうるさいので外しました。

akaishi sanmyaku
南アルプス(右端が北岳)
UMA fee
UMA利用料金表
tozanguchi
いよいよ登山道

標高約2300mの五合目からの道、初めは緩い下り、やがて六合目に向かって登って行きます。ここら辺で飛ばすといきなり頭が痛くなってしまったりしがちなので、意識的にゆっくり歩きます。四十分程で六合目に到着。標高2390mと書かれた標識が立っています。ここまでの道は幅も広く斜度は緩く路面状態も良好で、特に問題ありませんでした。

さて、次は七合目に向かって登ります。つづら折りの道で、路面は多少滑りやすくなりますが、道幅は広く、斜度も緩めで特に問題ありません。まだ馬の歩く道です。ちまちま登り、岩場の下に出ます。岩場と言っても手を使わずに登れる程度。岩場を少し上がると、七合目の山小屋群が始まります。ここから延々と七合目の山小屋群が続きます。既に営業を終えている小屋が多く、比較的静かな登山となります。

周囲を霧に覆われつつも、道端のトリカブトの類やフジハタザオ、トモエシオガマなんかの花を見ながら少しずつ着実に登り、やがて目安と決めていた富士一館に到着。ここまで、出発から約二時間。小屋は閉まっていますゆえ、小屋脇のスペースで休憩を取りました。軽い食事、水分補給。標高は既に2800m程あり、止まっているとやや寒くなるので、同行者二名は上に何か着たようです(そこまではみんなTシャツ)。

6th to 7th
七合目への道
tomoe shiogama
トモエシオガマ
7th to 8th
八合目への道

程よく休憩し、歩き始めます。三十分程して、雨が降り始めました。霙になるちょっと前くらい。ぴゃぴゃっとゴアテックスの雨具を着込み、ごろごろした岩の道を登ります。この後、雨は降ったり止んだりでした。登るうちにやがて八合目の山小屋群に突入。いくつも見送って、七合目から一時間半程で目安としていた白雲荘に到着しました。標高は約3200m。白雲荘前は広く、他にも沢山の登山者が休憩していました。流石にこの時期、他の山では見られない「観光客」然とした人は少ないようです。私達もしばし休憩。食い物でエネルギーを補給しまくります。

再び登り始め、三十分程歩いた所にある「八合目終点」と書かれた本八合目のトモエ館(まだ営業中)でトイレに寄り、昨年K氏とY氏が仮眠を取った胸突江戸屋(もう営業終了)を懐かしんでいよいよ最後の詰めに入ります。この辺りで標高は3360m程、山頂の神社まで残り標高差350mくらいです。

昨年、K氏はここいらで強烈な眠気に襲われていました。いわゆる「夜型人間」でもないのに夜間登山を強行した結果と思われます。本人、殆ど前回の記憶が無いそうで、後日談によるとこの辺りから先は初めて登るような感じだったとのこと。今回は無難な昼間の登山、K氏はそしてY氏も、意識や足取りがしっかりしています。ここまでのペースも順調、この様子なら山頂まであと一時間半程で行けるでしょう。

で、最後の区間。八合五勺の山小屋(営業終了)をさくっと通過し、九合目の鳥居まで約五十分、九合目から山頂の神社まで約三十分、計一時間二十分で本八合目から登り切ってしまいました。(因みにこの三人の中では私が一番有酸素運動の能力が低く、このペースだとついていくのがやっとだったというのはヒミツです。特に最後の最後、僅かな区間が辛まくり。)

tomoe-kan
本八合目トモエ館
9th
九合目鳥居(約15m上から)
summit
山頂の神社

山頂と余談

ということで、出発から約六時間二十分、途中雨に降られながらも大きな問題無く三人で無事に登頂を果たしました。やった。山頂は気温5℃弱で雨がぱらつくも風は弱く(10分間の平均風速で言うと恐らく6-8m/s程度、富士山頂にしてはやたら穏やかな感じ)、大きな危険は無かったのですが、一時間程度の範囲では天候が回復してケシキを堪能できそうな雰囲気でもなかったので、剣ケ峰登頂は諦め、少し下ってもっと穏やかな環境でほっと一息つくことにしました。すぱっと下山開始。

そう言えば、八合目から上を登っている途中、登山道を降りてくるよれよれの「観光客」然とした人を幾人か見ました。靴はしょぼいし、下手するとロクに雨具も着てなかったりして、のろのろと頼りなく下ってくる人々。あのペースじゃ暗くなる前に五合目には戻れないだろうし、懐中電灯も持ってないんじゃないでしょうか。彼等の表情は虚ろで、山小屋の殆ど開いていない他の登山道だったら正に遭難寸前といった感じです。ここを読んで下さってるみなさんは、あんな風にならないよう事前にきちんと情報収集をして下さいね。拙コンテンツ「たのしい富士登山」が、遭難予備軍の富士登山観光客を減らすのに少しでも役立てば幸いです。

下山

話を戻します。下山は、神社の横に続く山頂山小屋群(全て閉まっています)を抜けた所から始まる下山道を行きます。八合目まで、ブルドーザーの通れるふかふかの歩きやすい道です。霧が出ていたので、八合目の須走口下山道との分岐を見落とさぬよう要所要所で立ち止まって不必要な程に用心深く確認しながら下りました。K氏とY氏は楽しげにお喋りしながら下っていました。約四十分で八合目江戸屋(営業終了してます)に到着。富士スバルライン終点方面に下る私達は、ここから下に向かって左へ逸れます。真っ直ぐ下に延びる須走口の下山道を、先ほど上の方で見かけたグループが下ってゆくのが見えました。

ここでちょっと遅めのおひるごはん。ストーブとコッヘルも取り出し、お湯を沸かして持参した梅茶をみんなで飲みました。温まるし、リラックス出来てよいです。通り過ぎる下山者達がちろちろと羨ましそうに眺めてったりして、ふふふ、とか思ってしまいました。しばらく寛いでいると、先ほど須走口下山道を下っていったグループが登り返して来ました。ご苦労さん、早めに間違いに気付いて良かったですね。

gezandou bunki
分岐見落とし注意

さて、色々満たされ、下山を続けます。ここからの下山道は、ほぼ一定の斜度を保った幅広いつづら折りの道です。しかし、ちょっとした石と砂が混じっていて、砂は「砂走り」出来る程に深くはない為、特に慣れない人の場合は足や脚への負担が小さくありません。同行のK氏とY氏はそれなりに山歩きの経験がありますからいいペースで下れましたが(私のストックを貸したし)、初めての本格的な山歩きが富士登山という人にはこの下りはかなり辛いでしょう。登山用のストックや金剛杖があれば多少は助けになります。しかし、それでも基本的に脚力が足りなかったり歩くコツを掴んでなかったりすれば、厳しいことに変わりないと思われます。人によっては登りよりも下りの方が辛かったりするそうです。

そんな人達をぶち抜きながらずんずん下り、時折現れる青空に声を上げたりしながらずんずん下り、八合目から下山道七合目のトイレまで一時間ちょっとで下り着きました。青空と雲と斜めの大地の織り成す景色が素敵。でも、トイレは閉まっていました。ちょびっと休憩して更に下ります。トイレの下、少し下った所から道は山腹を横切る形になります。六合目方面へ、大雑把に言うと真っ直ぐ続く道です。途中、落石除けのシェルターを三つ潜ります。近くには、大きな落石の直撃を喰らって倒壊した樹木なんかも転がってたりしました。いつどんな石が落ちてくるか分からないので、油断せず素直にシェルター下を通る方が安全だと思われます。

夕暮れの迫った斜めの大地、様々な色や形の雲に見とれ、写真をいっぱい撮ったりしながらてろてろ進みました。ふと周囲が気になって立ち止まった時、360度見渡せばそこには壮大な景色が拡がっている。これは富士山ならではでしょう。少なくとも、私の行ったことのある場所で他に似たような壮大さを感じさせる所はありません。下山も後半に近づいたこの辺り、夏富士に登る人の多くは既に足や脚がへばへばでそんな景色を楽しむ余裕は無いのかもしれません。しかし、それはあまりにも勿體無い。これから(来年辺り)富士山に登ろうという人は、それなりの体力を付けてからにした方が楽しみも増えてよいと思います。

keshiki
下山中の景色
shelter
落石除け
keshiki
六合目付近から

景色を楽しみながら六合目に到着する頃、上に見える山小屋の一部には明かりが灯り始めました。いよいよ日没、残りはあと僅か。駐車場に向かって緩い坂を下り、最後にはほんのちょろっとですが登りが待っています。webの富士登山ガイドの類には、この最後の登りが疲れた脚には辛い等という記述もありますが、私らにしてみるといい加減下りばっかりでうんざりしていた頃に出て来る緩い登りなので負担は逆に減るという感じでした。ただ、私の場合は酸欠恐いよう。須走口下山後、登山口にある「菊屋」から駐車場までの僅かな登りで頭が痛くなった経験もあります。今回も少々頭痛くなりました。脚はまだまだ平気なんだけどな・・・ま、大した問題ではありませんが。

そんなこんなで、下山道七合目のトイレから約一時間、下山開始からだとお茶飲み休憩含めて三時間強、朝の出発から約十時間、時刻で言うと十八時ちょい過ぎ、無事に五合目の駐車場まで戻りました。お疲れさん。万歩計の数値は20618でした。因みに、そこらにあるお土産屋は十八時まで営業の店もあるようで、丁度閉めた直後といった様子。富士スバルラインの料金所ゲートは二十一時に閉まるそうですが、三時間もあれば余裕です。しかし、帰りの富士スバルラインが異世界への入り口だということに、この時点で私は気付いていませんでした。。。(→そのお話は「Rjにっき - 2004.09.19」に詳述。)

最後に。同行のK氏とY氏、今回も楽しい旅をありがとう。今度は是非念願の「好天時、お鉢巡り」をしましょう。(K氏による、「知恵熱れぽおと_富士登山2004」もご覧下さい。)


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