created: 2003.10.09
行程
標高はおおよその値です。 |
2003.10.01の富士山頂気象データ
富士山 毎正時の観測データ より。
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一般ルート、最後に残したのは富士宮口からの登山。これまでの三ルートに較べると、登るべき標高差が小さくて距離も短いルートです。初雪後/初冠雪前という時期に行ってみました。当日は本州全土が高気圧に覆われ、風も弱く穏やかな秋晴れの一日でしたが、次の日の山頂は日中の気温0℃前後、10分間の平均風速は20m/sを超しがちだったということも付記しておきます。三日後は午後二時で-5.4℃、五日後は最高気温が-3.0℃で初冠雪でした。この時期、山小屋も上の方は全て閉まっていることもあり、不用意な(観光気分での)登山は高い確率で遭難に繋がりますのでご注意を。
さて、出発は富士山スカイライン(旧:表富士周遊道路)の新五合目駐車場。朝の五時半過ぎに着くと、日の出やら何やらを見に来たらしい観光客の人が少なからずいてびびりました。「すいません、写真お願いします。」まで言われてるし。。。これから登る(であろう)人もちらほら。朝食を取り、影富士やら駿河湾の写真を撮ったりしつつ、ゆっくり時間を掛けて準備します。標高は既に2400m近いので酸素もそこそこ薄く、車で着いていきなり登り始めると多分頭痛くなります。
登山口から山頂 |
駐車場から日の出 |
登山口付近から影富士 |
日の出からしばらく経った六時十五分に出発。格好は、速乾Tシャツの上に厚めの長袖シャツ、いつものLevi's、夏用の手袋、帽子、そして登山靴。同時に登り始めた(単車で来た)男性と少し話をしながら、ゆるやかな道を登ります。が、彼は歩くのが速いようなので先に行ってもらいました。十五分程で新六合目の山小屋(というか、お土産屋さん二軒?)に到着。先に行っていた彼はここで休んでいたので、挨拶して抜かしました。その後、この男性とは一度も会いませんでした。
新六合目からは岩ごろごろ道の急登となります。こんなにすぐ急登が始まる道は富士山では初めてです。調子こいて飛ばすと後でバテやすい、という話も分かるような気がします。時間はたっぷりあるし、ゆっくり登りました。道自体はそんなに歩き辛い所もなく、普通に歩けます。途中、かつては小屋があったらしい微かな痕跡(六合目?)を通過し、新六合目から五十分程で新七合目に到着。アレ?ちょっと早いかな?手元の地図では、コースタイム一時間十分の区間です。
新六合目山小屋裏の登山道 |
六合目の廃墟 |
六合目付近から愛鷹山 |
続いて七合目を目指します。上に見えてるので、すぐ着きそうです。見下ろす宝永山頂が段々低くなり、四十分程で着きました。ここでもう標高3000mくらい。何だか楽だなぁと不審に思い考えてみると、多分気温が低くて汗だくだくだくにならないから楽なのでしょう。天気は好くて風も弱めなので、楽ちん極まりない富士登山といった雰囲気。こんなんでいいのだろうか?
新七合目付近から宝永山 |
七合目から八合目の小屋 |
七合目付近から駿河湾 |
登り始めから二時間半弱で八合目。下りてきた単独行の男性(この人も単車乗り)やら途中で抜いたけど追い付いてきた夫婦なんかと雑談しながら、ぴぴぴぴ言って近寄ってくるイワヒバリを見たりしてしばし休憩。イワヒバリは可愛いし下界の眺めはいいし、何だかやたら平和な空間でした。盛夏だとこんなにまったりとは出来ないんだろうなあ。十五分程休んで、上を目指します。
八合目衛生センター |
八合目から山頂 |
八合目にてイワヒバリ |
三十分強で九合目、標高は約3400m。道は相変わらず歩きやすく、特に問題ありません。しかし、この辺から先、酸素摂取能力の低い私には少々きつくなってきます。更に三十分程で九合五勺、標高3600mに近づいてきました。この辺から先、酸素摂取能力の低い私には大分きつくなってきます。脚はまだまだ元気なんだけど、脈が上がってしまってペースは落ちまくり。まあ、急ぐ旅ではないので、ちんたら登ります。足場は悪くなりません。
九合目から下界 |
あと百数十メートル |
もうすぐ山頂だい。 |
九合五勺から三十分強、登山開始から四時間半弱の午前十時四十分頃、山頂(浅間大社奥宮)に着きました。ふへー。やっぱり最後がきつかった。特に、標高差にして最後の数十メートル。ここのきつさは富士山ならではです。他の山だったら「わーい、もうすぐ山頂だ!」とか思ってひょいひょい登っちゃえる所ですが、私の場合は3650mを超えてからがくんときつくなるようです。それでも、無理せずゆっくり登れば大丈夫。他の人はどうなのか知りませんが、脈拍がやたら増えるようだったらペースを落とすのがいいと思います。
浅間大社奥宮 |
うにせん |
三島岳はあっち |
びゅうびゅう風の吹き抜ける山頂には他に人もいないので、ゆったりした気分でおにぎりを食べました。あ、ここでゴアテックスの雨具(上)を着てます。止まると途端に寒くなりますからね。写真にありますように、持ってきた「うにせん」の袋はぱんぱんに膨れています。あはは。ぱんぱんすぎ。しばし休んで、まだ時間もあるし天候も安定しているので、ふらふら散歩してみることにしました。まずはすぐ隣に見えている三島岳を、そして次に剣ケ峰の展望台を目指します。三島岳へは、そこらの踏み跡を辿って登ります。標高差20mくらいなので、すぐです。
三島岳 |
次の剣ケ峰は、八月に御殿場口から登った時以来の探訪。「馬の背」を経て南東側からのきつい登りは、前に来た時と違ってブルドーザーでならしたらしい状態でした。土がいっぱい盛ってあって、歩きやすくなっています。やった。ちんたら登り、程なく到着。単独行の若い男性がすごい嬉しそうな感じで写真を撮っておりました。一枚頼まれたので、最高点を示す石柱んとこでぱちり。デジタルカメラだと、その場で撮れたかどうだか確認出来るのでいいですね。頼まれた方としても安心です。
剣ケ峰(3776m) |
奥にある展望台へは、今回初めて上りました。狭い梯子をちろっと昇り、展望台独り占め。眺め最高。奥秩父やその向こうの浅間山、恐らく妙高山周辺、八ヶ岳、北アルプス、中央アルプスとその奥にある木曾御嶽、南アルプス、恵那山、駿河湾、伊豆半島辺りまで見えました。風はびーぶー吹き抜けてますが、いつまでも居たくなるような空間でした。
展望台からパノラマ風(リンク先画像は横3600pix.) |
でもまだ行きたい所があるので、切り上げて先へ進みます。と言っても剣ケ峰から北へ向かう道(昭文社の登山用地図で赤破線の道)はロープで厳重に塞がれていたので、無理をせず来た道を一旦戻り、お鉢巡りの道へと出ました。西安河原と呼ばれる辺りです。ピーク北側の岩稜とそこに掛かる梯子を見送って、適当な踏み跡から稜線に復帰。大沢源頭の辺りです。見事に崩れてるのが見えます。で、雷岩へと続く踏み跡を辿ったのですが・・・西からの風が強い。びぅぅぅぅっ!っと吹き上げてくる風は、瞬間的には(測ってませんが多分)30m/s超えてます。浮かんでしまいそうなので、稜線歩きは諦めてロープの張ってある所から小内院の南側を通るコースへ逃げました。
小内院は、蟻地獄みたいな小さい噴火口です。降りて遊ぶことも出来そうです。上縁を見ると、雷岩、そして釈迦の割石から白山岳へと続いています。七太郎尾根を登ってくると、雷岩と割石の間のコル(最低鞍部)に出るのかな。でも、この日みたいに風が強い時は大変かもしれません。いや、後ろ(下)から風に煽られるから、案外登るの楽だったりして・・・人間凧になれば登らなくても天界まで行けるかも。あはは。
大沢源頭から |
雷岩(3731m) |
釈迦の割石(部分) |
白山岳(3756m)へ手前から登るルートははっきりしなかったので、前回と同様に東側からの踏み跡を辿りました。標高差にして50mくらい登ります。無駄に急ぐと息が切れるので注意。頂上は景色最高でした。パノラマ風写真を撮って、少し戻る形になりますが釈迦の割石を見に行きます。溶岩が割れてたり穴が開いてたりして、ちょっと面白い所でした。で、そこから稜線伝いに雷岩の方へ行けるかどうだか確かめてみたかったんですが、ええと風が強いのでやめました。っつーか、コンタクトレンズだと砂が目に入って泣きそうです。泣きます。諦めて戻ります。
#下のパノラマは白山岳山頂から。リンク先画像は横2600pix.です。
→ | ☆ |
☆ | ★ |
★ | ← |
白山岳を下り、次のピークらしくもないピーク、久須志岳へ。ここは山頂の山小屋銀座のすぐ上で、大して登ることなくあっさり行ける所です。展望図があったので見較べつつ山の同定。やっぱり、越後の山まで見えてるようでした。すごい。山小屋銀座の裏側を眺めてから戻り、閑散とした山小屋銀座を抜け、須走口下山道の標識がある所から稜線を辿ってゆくと、すぐに大日岳へ着きます。しかし、風が強い。腰をかがめないと歩けません。
大日岳から伊豆岳へは、岩場を下ります。ほんの3mくらい。そして伊豆岳へと続く稜線は、やっぱり風が強くて危険でした。無理をせず、下のお鉢巡りの道を少し歩き、伊豆岳手前(北東側)の踏み跡から登りました。伊豆岳手前にも岩場があります。ほんの5mくらい。これを登り、伊豆岳に到着。そこからは辛うじてそのまま稜線を下り、荒巻の辺りでお鉢巡りの道へ合流しました。
そして成就岳。ここもピークらしくないピークですが、一応踏破。ケルンがあり、NTTか何かの建物がすぐ先に見えます。東安河原と呼ばれる辺りでしょうか。お鉢巡りの道へ戻って、銀明水を見下ろしつつ進み、最後に浅間大社奥宮の裏(火口側)にある小ピーク(浅間ヶ岳:駒ヶ岳の異名とする頁がありましたが、駒ヶ岳ってのはお鉢巡りの道の外側にある小ピーク?詳細不明。)へと立ち寄りました。小さな鳥居があります。風がどんどん強くなってる感じで、普通に立っては歩けませんでした。ヒミツの方法で固定した帽子が飛ばされそうになりました。
久須志岳山頂 |
大日岳山頂 |
伊豆岳(3749m)山頂 |
成就岳(3733m)山頂 |
銀明水と大内院 |
浅間ヶ岳?山頂 |
という具合で、一部稜線を歩けなかった区間もありましたが、無事にお散歩終了。出発点の浅間大社奥宮前へ戻り、建物の陰で一服しました。ほんの十五分の休憩でしたが、風は強くなるし気温も下がってきてすげえ寒かったっす。面倒臭がらずに、持ってきたフリースかセーターを着ればよかった。。。因みに、他にもお散歩してる人はちらほらいました。全員登山者風の人で、殆どが二十代から四十代の単独行男性でした。他に、四十歳前後と思われる夫婦が二組。
目に砂が入りまくって泣きそうというか泣きまくりだったので、ここでコンタクトレンズを外しました。毎回忘れる、砂よけのゴーグル。ああもう。下りで眼鏡はちょっと歩き辛いんですよね。でも下らない訳にはいきません。十四時に下山開始。しばらく前から鼻水が出てたんですが、これは寒いせいかな?と思って気にしてませんでした。けど、何やら頭が痛い。三時間以上も山頂空間をうろうろしてたせいで、軽い高山病になったのだろうと思いました。でも下れば大丈夫。ざくざく下り始めました。
歩き始めると、何だかふらふらします。んー、軽い高山病なら下りれば治るはず。ただ、この道は登りやすかっただけに下りは少々大変です。足場が良い=下が固い。丁寧に下らないとすぐに膝に来そうです。しかし、ふらふらするし眼鏡は揺れるし鼻水が出てきて息は詰まるし風はちっとも弱まらないしで、なかなか思うように足を運べませんでした。私自身の不具合を差し引いても、ここの下りはちょっと大変ですかね。御殿場口登山道を七合目まで下り、下山道の途中から宝永山方面へ逸れて富士宮口新六合に戻るルートが楽かと思われます。
それでもちまちま降りてゆき、十五分で九合五勺、更に十五分で九合目、もっと十五分で八合目、しつこく十五分で七合目まで降りました。ここまで来ればもう高山病も平気・・・と思いきや、何だかちっとも楽になりません。どうやら、高山病じゃなくてただの風邪だったようです。むはー。開き直って七合目で少し休み、脚を痛めないように丁寧に最後の一時間を歩きました。
八合目付近から宝永火口 |
七合目付近から雲 |
降りてきたのです。 |
そういや、下りですれ違った登山者が二組。一組目は、九合五勺の上を登っていた若いかっぷる。観光客然とした格好で、金剛杖を持ってへばへばでした。もうすぐ山頂だし、この時刻なら(血迷ってお鉢巡りなどをしなければ)日暮れ前には辛うじて下山出来そうなので、もうちょっとだよーがんばれーみたいなことを言って素通りしました。
もう一組は、七合目のすぐ上で休んでいた若い男の子数人。やっぱり観光客然とした格好で、金剛杖だけを持ってへばへばでした。背負い鞄も無し。あれじゃ、雨具どころか飲み物すら持ってない。。。こんな時刻なので当然下山中かと思ったら、立ち上がった彼らは何と上に向かって歩き始めたのです。ちょっと待てぇい。慌てて引き留め、これから山頂まで行くつもりなのかと訊いてみると、関西弁の彼らはそうだと言います。ここからどれくらいで頂上かと訊かれたので、休まず登って二時間は掛かるだろうと答えました。時刻は十五時。日没は十七時半頃です。懐中電灯は持っているのかと訊くと、(全員で合計)一個だけ持ってるそうです。で、気の早い連中はどんどん登ってってしまいました。
一人冷静そうな子が残ったので、
等を話し、八合目辺りまで行ったらそこで諦めて戻るのが無難だと諭しました。その後、数日経っても「富士山で遭難死」のニュースは流れてこないので、一応何とか無事だったんだろうと思います。しかし・・・富士山登るのに、事前に誰か一人は一度くらいwebを見たりしないんですかね?若いのになあ。どうなってんじゃろ。無駄かもしれませんが、一応書いておきますね。観光気分での入山はせめて夏だけにして下さい。っつーか、夏でも登山気分/装備で来るがよろし。
さて自分の方に話を戻します。十六時に無事下山。新五合目の駐車場は、朝以上に観光客で溢れ返っていました。風は強まり気温も下がり、先刻の連中どうしたかなぁ、ちゃんと諦めたかなぁ、と案じつつしばし車内で休んでから帰りました。御殿場IC手前の国道沿いにあるLAWSONに立ち寄り、写真を一枚撮って富士山とお別れ。今日も楽しい一日をありがとう、ってな感じでした。
あばよ! |