Rjの登高漫歩
山歩記 - 富士山:吉田口下部(2005.03.12)

last modified: 2005.03.20


概略

経路(標高) 地形図
馬返(1440m)〜一合目【鈴原天照大神社】(1520m)〜二合目【御室浅間神社】(1720m )〜三合目【見晴し茶屋】(1840m)〜 御座石五合目【井上小屋】(2050m?)〜五合目【佐藤小屋】(2220m)〜馬返 Couloir 45l AXS GTX 須走 (北西)

†出発/通過/帰着点の標高はおおよそです。

ずぼずぼ雪上ハイク

Fuji
雪煙の上がる富士山へゴー

アプローチ

今回は、たっぷり雪のある富士山麓吉田口登山道をお散歩してきました。出発は吉田口馬返。踏み跡の付いた夏道をそのまま登り、五合目佐藤小屋まで行って戻ってきました。標高2000m付近での積雪量は1mくらいあり、踏み跡を辿りながらもしばしば「ずぼっ」と埋まってしまう、なかなか楽しい旅でした。同行は夏富士に一緒に行っているK氏。

まず車でどこまで入れるのか不明でした。行ってみると、除雪された舗装路は中の茶屋までノーマルタイヤでOK。茶屋から先は「工事関係者以外立ち入り禁止」とか何とか書かれた看板が掲げられています。ひとまず車を茶屋前に起き、どうすべきか考えていると、「工事関係者」のトラックが来たので止めて中の人に訊いてみました。ハイキングに来たのだが、この先はどうなのか、と。工事の人曰く、いいけど、大きなトラックが通るからそれを塞いじゃ駄目だよ、止められる台数は少ないよ、馬返の手前までは除雪してあるよ、等。

除雪してあるとのことでしたが一応チェーンを着け、細い舗装路をちろちろと登って行きました。やがて馬返のすぐ手前で左に林道が分岐している所に出ました。ゲートが閉まっていますが、他にも時々やってくる工事の人はそのゲートを開けて更に奥へ進んでいる様子。結局、分岐手前の左側の僅かなスペースに車を置いて出発することになりました。

登り

馬返への道は下から向かって右。10t級の大型トラックが方向転換する為のスペースまで除雪してありますが、その先は四輪チェーンを履いたジムニーなら行けるかな?といった雰囲気で、エクストレイル級では無理かもしれません。雪を踏み少し歩くと、馬返の駐車場に出ました。車は一台も無く、踏み跡がぼこぼこ付いている状態でした。登山道はそこから左へ進みます。はっきりした踏み跡があり、それを辿ればすぐに馬返の鳥居。この辺りで既に積雪量はかなり多く、一年半前に見た登山道を示す漂石【Rjにっきextra - 富士山(吉田口)冒頭の写真】はその頭だけが辛うじて雪上に出ている状態でした。

鳥居やら灯籠に見送られ、先へ進みます。初めは幅広い道。はっきりした踏み跡と、ミニスキーで下った跡があり、踏み跡を辿れば大体は普通に歩けます。雪はしゃくしゃく系でアイゼン不要。すぐに一合目を通過し、やがて二合目へ。崩れかけた神社で小休止しました。止まると風が冷たい。三月とは言え、標高は既に丹沢山塊のどこよりも高く、気温は氷点下。「二合目」を示す導標は雪に埋もれて発見出来ませんでした。

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馬返の駐車場
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一合目
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二合目

さて、雪の上を進みます。踏み跡を辿ってはいるものの、時折「ずぼっ」と脚が潜ります。膝下で済んだら楽ですが、膝上、時には脚一本まるごと埋まってしまいます。「あれま」と言った感じ。三合目の廃墟を過ぎた辺りで、この日の為に買った(と言うより、前から欲しかった)わかんじきを着けてみることにしました。ワーイ。

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輪かんじき

ツボ足(靴のまんまの状態)だとぼこっと潜ってしまうような雪面でも、ずさっと20cm程度潜るだけで済みます。やった。ただ、踏み跡が半分固まったところでは歩きにくい。かといって、完全に踏み跡を外して歩くのも無駄が多い。かなり半端な状態で、あまり役に立ちませんでした。踏み跡が無かったらすごく役立っていたことと思われます。ま、アルミワカンは思ったよりも軽かったし、大きさも歩く際にさほど気にならないものと分かったので、一応試した甲斐はあったということにしておきます。

四合目の廃墟は雪に埋もれて発見出来ず、御座石の井上小屋前まで行きました。奥秩父方面の眺めが得られて気分爽快。屋根から落ちた雪が一部道を塞ぐ感じでした。小休止して上を目指します。この辺りから同行のK氏がへばってしまって、かなりきつそうでした。一歩登るのが大変そう。昨年、河口湖口五合目から上まで行った時には私を置いて行かんばかりの勢いだったんですけど【山歩記 - 富士山:河口湖口(2004.09.18)】、今回は体調があまりよろしくなかったようです。

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三合目
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御座石五合(井上小屋)
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御座石前からの景色

五合目佐藤小屋付近

やがて林道と交差し、富士の頂やら下界が見えてきました。ずぼずぼ埋まったり固い斜面が現れたりして、それまでとは雰囲気が変わってきています。固い斜面では、ヤワな靴を思い切り蹴り込んでつま先の片側がようやく乗っかる感じ。こんな場面ではやはり重登山靴の固さが欲しくなります。っても、まだこの程度ならアイゼンを履けばさくさく刺さるでしょう。斜度もきつくないし、特に怖い思いをすることはありませんでした。

林道が見えてから佐藤小屋まではほんの少しの登りですが、K氏には相当きつそうでした。でも何とか無事に登り着き、佐藤小屋前からは楽しいケシキを堪能出来ました。下に向かって左には河口湖口五合目(富士スバルライン終点)のレストハウス群、その右に甲斐駒、八ヶ岳、奥秩父から奥多摩、道志、丹沢の山並み、手前には正面に河口湖、右に山中湖がよく見えます。大きな眺めってのはいいもんです。そして後ろを振り返ると、所々黒々とした富士。そのうち冬富士にも登ってみたいとは思いつつ、まだ無理でしょうね。寒さや重装備での低酸素もきつそうですが、それよりも落ちて死ぬ。先日も、八合目付近を下山中に500mくらい滑り落ちて死んだ人がいたようです(「富士山で滑落死、下山途中に8合目付近から」)。アイゼン引っ掛けたのかなあ。。。

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もうすぐ佐藤小屋
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佐藤小屋のトイレ
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上を見れば富士本峰

佐藤小屋前でおひるごはんにしました。富士山にしては大したことない風でしたが、それでもやっぱり冷たい。一方向から吹くわけではない為、建物の陰に隠れたつもりでも風からは逃れられません。ユニクロのダウンジャケットを着てもまだ寒く、初めて裾部分を絞るドローコードを引きました。気温は多分-5℃程度で大したことないんですけどね。ラーメンと雑炊を作りましたが、取り皿(シェラカップ)に取るとあっという間に冷めてしまいます。急いで食べないと。

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本日の装備
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奥秩父方面

下り

お腹もいっぱいになり、下山です。来た道をそのまま戻ります。時々(或いはしばしば)ずぼって潜りますが、下りでは失った位置エネルギーをそれほど取り戻さなくていいので、登りに較べれば楽です。ただ、私は体調の都合からか平衡感覚が希薄になり、登りよりも辛かったというのはヒミツ。ふらふらずぼずぼしながら降りました。

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木洩れ日
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三合目
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二合目下の登山道

御座石、三合目、二合目、一合目と時折休みながらずぼずぼ下り、佐藤小屋から二時間程で無事馬返に戻りました。やー、今回も楽しいお散歩でした。万歩計の数値は18500歩程。同行のK氏も帰りは元気だったし、全体を通して大過なく済んでよかったよかった。

同行のK氏による関連記事
知恵熱譚 雪の富士山

下山後(車上荒し)

無事下山、安心して車へ戻り、トランクを開けたところ、うわ。やられてる。車上荒しです。吉田口馬返駐車場では車上荒しが発生しているという情報は持っていたのですが、このクソ半端な時期にやられたのは意外。で、更に意外なのが、荒らされたのはK氏の手提げ鞄だけ(盗られたのはK氏の着替えだけ)だったという点です。出発前にトランクの鍵を掛けて確認した記憶がありますので、犯人は普通に解錠している。もしやろうと思えば車室を漁られていてもおかしくないはず。そっちは手付かずでした。また、トランク内にももう少しオークション等で売りさばきやすそうな物が置いてありましたから、そっちを探った跡があってもおかしくないはず。漁っている途中で誰かが来る気配でもして慌てて逃げたんでしょうか。謎です。まあ、盗られたものは少なく車本体を壊されていた訳でもないので、不幸中の幸いと思うことにしましたけど・・・嫌なもんが流行していますね。皆さんも山へ行く際にはお気を付け下さい。


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