Rjにっきextra - 2003.10.18

created: 2003.10.23


富士山(須山口登山歩道)

行程概略

時刻 場所 標高 歩数
7:30 水ヶ塚公園駐車場(一合目) 1450m 0
9:40-9:55 御殿庭下(二合五勺) 1980m -
10:40 御殿庭中(三合目) 2150m -
- 四合目 2352m -
- 宝永第一火口入口(四合五勺) 2470m -
12:40-13:20 富士宮口新六合目 2500m -
13:30-13:45 富士宮口新五合目 2380m -
16:40 水ヶ塚公園駐車場 1450m 23484

標高はおおよその値です。

詳細

今回は富士山麓のお散歩その二です。前日の朝までは「晴れ時々曇り」くらいの予報だったのに、前日昼頃から「くらげ雲」とかいうのが関東の南海上に発生して攻めてきまして、当日は雨やら何やらが降ったりする生憎のお天気となりました。まあ、お散歩なので特に問題ありませんでしたけど、景色を存分に堪能できなかったのは少々残念。

出発は水ヶ塚公園というところのでかい駐車場。道の反対側に遊歩道の入り口があります。ええと、遊歩道というのは正確ではなくて、本当は1997年から1999年頃に復興された須山口登山歩道の一部です。この道は愛鷹山北東麓の須山浅間神社から十里木キャンプ場、日本ランド遊園地/ゴルフ場の脇を抜け、水ヶ塚を経て富士宮口の新六合目まで通じています。今回歩いたのは、その一合目から富士宮新六合までの区間。他にも、二ツ塚や幕岩の方へ行く遊歩道が整備されているようです。

一合目から二合目辺りまでは、ゆるやかな道。笹原があり、広葉樹が茂っています。最初雨がぱらぱら降っていましたが、やがて止んできて空も明るくなりました。きのこを見つけながら歩いていくと、そのうちに道は徐々に急になり、地味な踏み跡を辿っていくに従って高度を上げてゆきます。後ろを振り返ると、愛鷹山やら駿河湾も見えてきました。やった。段々と愛鷹山を見下ろすようになっていくのが分かって頼もしい。

二時間程で、御殿庭下(二合五勺)に到着。木々(既に針葉樹が中心)の向こうには、宝永山が山のような形で見えます。ここから幕岩や二ツ塚(双子山)への道が分岐しています。ここまで導標は多く、迷う心配はそんなにありませんでした。ちょっと謎だったのは、このちょっと手前に「ガラン沢コース」という導標があったこと。んぁ?手元の昭文社の地図とは矛盾しますが、ひとまず放っといて上を目指しました。

涸れ沢の道を経てずいずい登ると、程なく御殿庭中(三合目)に到着。宝永山が段々近寄って来ています。そして、見えていた晴れ間は段々遠ざかって行くようでした。昭文社の地図だと、道はここから宝永第三火口の脇を抜けて御殿庭上に向かうはずです。が、そこな導標に従ってそのまま上へ進みました。剥き出しの尾根を辿る道です。火山粒じゃりじゃりの、「富士山らしい」道に変わります。

2003.10.18 - goten-niwa shita
御殿庭下(二合五勺)
2003.10.18 - houei
見えてきた宝永山
2003.10.18 - karesawa
涸れ沢の道

宝永を間近に見上げ、時折振り返って愛鷹を遠くに見下ろしながら進むうちに、雨が降ってきました。ばしゃばしゃ級です。剥き出しの尾根なので、風も徐々に強まります。まだ辛うじて生えている背の低い針葉樹の陰で、今年大活躍のゴアテックス雨具(正確に言うと、少し厚みのあるオールウェザースーツ)を上下着用しました。手袋も出して着けました。お散歩なのに、山みたいな天候になってきたなあ。流石富士山。

やがて、前方にはぽっこりした小ピークとその向こうの富士本峰が見えてきました。それまで富士本峰は雲に覆われていてちっとも見えなかったのですが、見えてくるその「下の方」はうっすらと雪を被っていました。おお。上まで見えなくても迫力あるぜ。ぽっこりした小ピーク(2352m)までの最後の僅かな登りは、ぢゅるぢゅる滑る道でした。御殿場口からの登山を思い出します。あん時はあちくて靴擦れしてて辛かったなー。でも、今回は涼しくて靴擦れもしてないので楽ちんです。ただ、お散歩気分で来る人がいたらちょっと面食らうかもしれません。これはお散歩を超えた山歩きの領域でしょう。

宝永第二火口を見下ろすその小ピークが四合目でした。上から降りてきた十数名のパーティがいたので、挨拶して雑談をしたり。彼らはこれから下るのにどちらへ行ったらよいか訊ねてきました。私は、自分が今登ってきた道はガレガレの部分も多くて下るには適さないだろう、というようなことを言いました。それで彼らは、宝永第二火口の縁を下り幕岩や二ツ塚を経て御殿場口へ出る道を取ることにしたようです。因みに彼ら、山ちゃり(マウンテンバイク)軍団でした。

2003.10.18 - Ashitaka
四合目付近から愛鷹山、駿河湾
2003.10.18 - Houei
四合目付近から宝永火口、宝永山

間近で見る宝永山/火口はなかなかの迫力です。御殿場口から下る時に宝永山頂まで足を延ばし、「あっち側」から見下ろしたことはあるのですが、その時とは違った印象です。「こっち側」からの景色も見られてよかった。しばらく堪能しました。たかだか三百年前にここいらからどっかーんといったのかい、と思うとびっくりです。でも風雨は強まり、やがて雨は霰に変わり、びちびちびちびちとすごい勢いで顔に当たります。痛いんですけど。。。やっぱり山の天気、しかも大仰な独立峰たる富士山の天気は侮れませんね。それでも遠くに愛鷹山がずっと見えていたのは何だか不思議。

富士宮口新六合目の山小屋二つは、先程から目と鼻と口の先に見えています。地図で距離を確かめると、直線で500mちょいでしょうか。もうあまり高低差の無い道(宝永第二火口の縁)を、新五合目へのトラバースを見送りつつ霰と雪の中間のような物体にびしびしびしびし叩かれながら歩きました。すぐに宝永第一火口入口の分岐へ到着。ここでもまた足を止めて恐ろしげな火口をたっぷりと眺めました。因みにここらは富士宮口新五合目の駐車場からのお散歩コースなので、他のハイカーもちらほら通ります。すり鉢の底まで下って宝永山頂を目指す勢いの人もいました。ぱっと見、すぐ登れそうだけど、ちんたら歩いたら多分一時間くらい掛かるでしょう。流石にそちらへ進む人達はそれなりの格好をしていました。下界の普段着じゃ確実に凍えます。気温は恐らく零度前後、風速は平均で10m/sを超えていたでしょうか。

たっぷりと景色や気象を堪能して、徐々に白く染まってゆく道を新六合目の山小屋(土産屋、とも言う。)へと向かいました。すぐに到着。こないだは往復共に素通りしましたが、今回はお散歩気分なので手前の宝永山荘に立ち寄ってみました。中で雨具を脱ぎ、きのこ茶を貰ってきのこ雑炊か何かを注文して食べました。味が濃くて胃には酷でしたが、温まりました。

しばらくまったりしてから、靴紐を締め直し、店を出て下りに掛かりました。既に道は白い。紅葉もここいらではほぼおしまいで、これからはどんどん冬になってゆくのでしょう。冬の富士登山は私のようなハイカーには無理なので、惜しむようにじゃりじゃりの火山礫を踏みつけつつ富士宮口の新五合目駐車場まで下りました。下りながら見上げると、雲の隙間にちろっと山頂が見えそうだったりしました。ばいばい、また来年な。

十分程で駐車場。そこには当然観光客がわらわらいたのですが、単車で来てる人も結構いて、その寒さを想像してがんばれよーとか言いたくなりました。レストハウスのトイレに寄り、宝永第一火口入口と須山口登山歩道四合目の間へ続く遊歩道を進みます。入口が分からなかったので駐車場の上に入ってゆく階段の所を行ってみたら、実はもっと先(舗装道路がぐにょっと曲がってる付近)から入るのが正解だったようです。ちっと無駄に歩きました。

その先はしばし樹林帯の中の道です。木々の間は風が吹かないので本当に気楽です。お散歩の人が多く歩く道だから迷うことも無いだろうと思って歩いていると、ちょっと惑わせる踏み跡が幾つかありました。そして、大きな岩の露出している所で自分が正規の道を外れていたことにも気付きました。あれれ。どこで間違ったんだろう。まいっか。すぐに復帰出来たし。そのちょっと先で、登る時に見送った分岐、宝永第一火口入口と須山口登山歩道四合目(宝永第二火口を見下ろすぽっこり小ピーク)の間に出ました。木が無くなって、風が強い。けど、霰と雪の中間のような物体は純然たる雪に近づいているようでしたので、そんなに痛くありませんでした。

そこから、登ってきた道を下ります。ぽっこりした四合目を経て、ずりゅずりゅで登りにくかった道を楽々下り、樹林帯に入ってほっと一息。木々が風を遮り、舞う雪も心なしか優しげです。お散歩気分を取り戻し、ずんずん下って行きました。だんだん雪片が大きくなり、下の方では東京で冬に見るぼたん雪みたいになってました。標高2000m位まで雪が降っていたでしょうか。この時期としてはやや珍しい?下界でも少々冷え込んだ一日だったようです。

2003.10.18 - yuki 1
新六合目付近にて
2003.10.18 - traverse
新五合目からの遊歩道
2003.10.18 - yuki 2
三合目付近の雪

下るうちに天候は回復してゆき、気温も上がってあちくなりました。一日で随分色んな状況に出くわしたもんだと思いながら順調に下り、新五合目から三時間弱で水ヶ塚の駐車場へと戻り着きました。ふー。万歩計は23484歩。軽いお散歩のつもりだったけど、天候含めて刺激に満ち溢れた楽しい一日でした。

そしてその最後に。靴を脱いだりして帰る支度をしていると、それまで富士山頂を覆っていた雲が退きました。ぅおぅ、見えた!私の降られた雪は、五合目付近までを見事に白く染め上げていました。荘厳。写真をいっぱい撮って、やー、カッチョイイなー、とか思ってふと振り返ると、沈み行く夕陽の反対側にちろっと虹が出てました。ほんの二、三分で消えちまいましたけど。

2003.10.18 - Fuji
水ヶ塚公園から夕暮れの富士

おまけ

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富士山(南東) 須走(南西)
天母山(北東) 印野(北西)
須山口登山歩道のホームページ
須山口登山道の歴史や地図などがあります。
あっぱれ!富士登山
一般人的視点でまとめられた、夏期富士登山の総合ガイド。
富士山に登りたい!
山ヤ(アマチュア登山家)的視点でまとめられた、夏期富士登山の総合ガイド。
富士山 読み方辞典
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