Rjの登高漫歩
たのしい富士登山 - 登山適期

last modified: 2007.06.10


富士 - もくじ

  1. はじめに
  2. 登山適期
  3. 各登山道の特徴
  4. 単独?グループ?
  5. 必要な装備(道具)
  6. 歩き方のコツ
  7. お鉢巡り・山麓散策
  8. 富士登山関連リンク

登山適期

富士山は日本一高い山なので、上に行くと平地よりずっと寒くなります。なので、冬山登山経験の乏しい素人が登るとなると、その時期は限られます。また、よく行われている夏期の夜間登山についても、明るい昼間に登るのとは多少事情が異なります。ここでは、その辺について素人の観点から述べてみます。

  1. 時期はいつがいいか
  2. お天気は?
  3. 時間帯はいつがいいか

時期はいつがいいか

富士山が観光客としての登山者を受け入れてくれる時期は、多くの山小屋が営業している七月と八月に限られます。年によって日付は異なりますが、七月の初めや八月の終わり頃には閉鎖している山小屋も多々ありますので、実質的には二ヶ月弱の期間が適期となります。

登山者(観光客)が最も集中するのは、八月に入ってからお盆休み頃までです。この時期には、五合目へ通ずる富士スバルラインや富士山スカイラインにマイカー規制(路線バス等を除く車両の通行規制)が敷かれたりします。時間帯やルートにもよりますが、登山道が人で溢れ返ることになりがちです。多くの人がいるので何となく安心感がある反面、他人との接触に気疲れしてしまうこともあり得ます。登山道が渋滞していて、身体は元気なのに自分のペースで歩けず、予想以上に時間が掛かってしまうこともあり得ます。

その時期を外すとどうでしょう。七月中旬頃までは梅雨時で、天候の思わしくない日が多いかもしれません。八月の下旬にもなれば秋の風が吹き、場合によっては台風が来たりもします。なかなかうまく行かないものです。一応、七月下旬の梅雨明け後辺りが条件としては好いのかもしれませんが、天気はいずれにせよ不定ですしあまり拘ることもないかと。

山小屋利用を前提としない場合、思い切って九月前半という手もあります。天候の安定している時ならば、人も少ないし極端に冷え込む可能性も少ないし、ゆっくりと自分のペースで山を楽しめるでしょう。但し、例えば殆どのトイレは使えませんし(女性は特に厳しいかと)、何かあった時には基本的に全て自分(たち)で対処しなければなりません。なので、この時期に登山未経験者だけで登ることはお奨めしません。知らずに登ってしまい、遭難寸前になっている人を見かけます。

六月までは残雪もあり(七月上旬にも登山道に残っていることがあるようです)、十月以降は急激に冷え込んで雪が積もったりもするので、「素人」レベルの登山対象からは外した方がいいと思われます。無謀な入山で命を落とすことだけは避けたいものです。


お天気は?

富士山は高い独立峰なので、そこでの天気は非常に変わりやすいと思って下さい。晴れを期待して行っても途中で雨に降られたりしがちです。だから、この点に関してあまり完璧を求めない方が楽です。

但し、台風が接近している等明らかに荒天が予想される時は、潔く中止して下さい。脅しではなく、吹き飛ばされてあっさり死にかねません。避けるべき脅威は雨ではなくて風です。


時間帯はいつがいいか

富士山と言えば、「山頂で迎える御来光(高山で見る荘厳な日の出の景観)」が大人気です。憧れを抱く人は少なくないでしょう。しかし、私は敢えて言います。最初の富士登山では「山頂で迎える御来光」を諦める方が楽だ、と。理由を列挙しましょう。

  • 日帰り(宿泊無し)で御来光を拝むには、夜間登山をしなければならない。
  • 夜間の登山は昼間の登山に較べて精神的・技術的・体力的に厳しい。
  • 山小屋で一泊する登山の場合、時期や場所を選ばないと大変なことになるらしい。
  • 大変な思いをして混雑する山小屋泊の試練を乗り切っても、天候次第で、或いは渋滞にはまって、山頂で御来光を拝めないこともある。

富士登山の登頂率(登ろうと思って行った人が、山頂まで辿り着ける確率)は、約2/3等と言われています。そのうち、二回目以降の人も少なからずいるでしょうから、初めての挑戦での登頂率はおおよそ50%程度と考えられます。二人に一人は脱落する、というわけです。

まあ、この数字自体の根拠は曖昧ですが、実際に私が行って目にした範囲でも、敗退する(登頂を諦めて下山する)人は少なくありませんでした。子供からお年寄りまで誰もが気軽に登りに行く夏の富士山ですが、決して易しい登山ではないのです。だから、なるべくなら敗退の原因となる要素を減らした方がいい。私はそういう考えです。

敗退の多くは事前の準備不足や無理な計画が原因です。このサイトを見た人には、気持ちよく登頂を成功させて欲しいと願っています。

具体的なスケジュールの例

ルートにもよりますが、登山口から山頂(の一角)まではおおよそ1500m前後の標高差があります。登山に慣れていない人の場合、途中で体調の問題が生じなくても五時間から九時間くらいは掛かると見ておいた方がいいでしょう。もちろんこれには個人差があります。もっと速い人もいるし、もっと遅い人もいます。

お鉢巡りについては別項で述べますが、富士山頂の火口縁をぐるっと一周するコースのことです。ここを歩くと、富士山という活火山の威圧感をたっぷり味わうことが出来ます。登り下りの標高差は大したものではありませんが、酸素が薄いので意外と労力を要します。時間と体力に余裕がある場合はどうぞ。概ね、二時間程度は見ておきましょう。

下山は楽です・・・と言いたいところですが、慣れない人にとっては登りより苦痛が大きいこともあるようです。下山の困難さはルートによってかなり異なりますので、どこから下るか(車で来た場合には、登った所に戻るしかありませんが)考えた方がいいでしょう。掛かる時間は、おおよそ二時間から五時間程度。(各ルートの詳細には後程改めて触れます。)

いずれの場合も、登山口に着いたら一時間くらいは水分の補給や準備体操をするなどしてゆっくり過ごしましょう。或いは、到着後三十分程で歩き始めるとしても、最初の三十分くらいは異様にゆっくり歩きましょう。標高の高い登山口からいきなりすたすた登り始めると、薄い酸素に慣れない身体には酷です。

自家用車やタクシー利用の場合
その一:日帰り
  1. 朝早く登山口に到着、登山開始。
  2. お昼頃登頂。やった。
  3. 余力があればお鉢巡り後、下山。
  4. 夕暮れ前には下山完了。

これは、富士山に限らぬ普通の日帰り登山でよく使われるパターンに準じています。

天気が好ければ、ルートを選ぶことによって登山口付近からでも御来光を拝むことができます。富士山は高い高い山なので、登山口が既に雲の上だったりすることも多々あります。

登山口までの交通手段を確保出来るなら、夜明け前の登山開始というのもいいかもしれません。但し、御来光に拘ることによって極端な寝不足等体調上の問題を抱えることになっては本末転倒です。(夏の日の出時刻は、大体四時半から五時過ぎくらいです。)

その二:山小屋泊
  1. 昼過ぎに登山口に到着、登山開始。
  2. 夕暮れ前、七合目辺りの山小屋に到着、宿泊。
  3. 翌朝、(場所や天気により山小屋付近で御来光を拝んでから)山頂を目指して出発。
  4. 「山頂で御来光」目当ての人が去った後に登頂。やった。
  5. 余力があればお鉢巡り後、下山。
  6. 昼頃には下山完了。

「山頂で御来光」目当ての人が下山し、駐車場を出ていく頃を狙います。また、山小屋は山頂に近づくほど混雑しますので、そこも比較的人の少なそうな(低めの)所を狙います。

バス利用の場合
その一:多数派型
  1. 午前中に登山口到着、登山開始。
  2. 八合目辺りまで登って山小屋泊。
  3. 夜中に起きて登頂、余力があればお鉢巡り。
  4. 昼前には下山完了。

スケジュールとしては最も「好まれる」タイプかもしれません。つまり、すし詰めの山小屋や御来光前の渋滞等に遭遇する可能性が高くなります。

その二:強行型
  1. 夜、登山口に到着。
  2. そのまま夜間登山開始、日の出頃に登頂。やった。
  3. 余力があればお鉢巡り後、下山。
  4. 昼前には下山完了。

体力に自信のある人向け。途中で眠くなると大変です。

その三:裏技?
  1. 夜、登山口に到着。
  2. そのまま夜間登山開始、七合目辺りの山小屋(「山頂で御来光」目当ての客が捌けた後なら空きが出来る)で休憩(仮眠)。
  3. 翌朝、(場所や天気により山小屋付近で御来光を拝んでから)山頂を目指して出発。
  4. 昼前には登頂。やった。
  5. 余力があればお鉢巡り後、下山。
  6. 夕暮れ前に下山完了。

御来光を見るためにはルートを選びますが、事前に山小屋へ直接訊いてみてこういうことが可能であると確認出来たなら、バス利用の中ではお奨めの方法かもしれません。

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