Rjの登高漫歩
たのしい富士登山 - 歩き方

last modified: 2007.07.29


富士 - もくじ

  1. はじめに
  2. 登山適期
  3. 各登山道の特徴
  4. 単独?グループ?
  5. 必要な装備(道具)
  6. 歩き方のコツ
  7. お鉢巡り・山麓散策
  8. 富士登山関連リンク

歩き方のコツ

同じ人が同じ道を登ったり下ったりするのでも、どのように歩くかによって楽ちんさが違ってきます。ここでは、少しでも楽をする為の歩き方について考えてみます。また、富士山へ登る前の身体の準備についても触れてみます。

#原則として、自分の両足で坂道や段差の安全な登降が可能な人を対象としています。

  1. 全般的な注意
  2. 登り方
    • 速さ
    • 足の運び
    • 呼吸
    • 休憩
  3. 下り方
    • 岩の多い区間
    • 砂走りの区間
    • それ以外
    • 休憩
  4. 使えるかもしれない道具
  5. 事前の準備
    • 練習の例
  6. おしまいに:直前から当日のこと

全般的な注意

準備体操をする

登り始める前や長い休憩の後には、十分に身体をほぐしましょう。特に、山頂でたっぷり休んだ後の下山前には念入りに。登りで疲れた筋肉が冷えて固まっているし、下りでは関節を傷めたりしやすいのです。バランスを崩した時にも、身体がほぐれていた方がとっさの対応を取りやすくなります。怪我のない楽しい登山を。

道を間違えない

例えば、間違えて下山道を登ってしまうと大変です。また、下山時に帰りたい所とは違う方向へ下ってしまうと、バスで帰れればいいのですが車で来ていたりすると大変です。出発点や分岐点では、正しい道をきちんと確認しましょう。

登山道・下山道以外を歩かない

遠目にはどこでも歩けそうな富士山ですが、道ではない所は格段に歩き辛いだけでなく危険も大きいですし、落石を起こして事故になることもあり得ます。必ず正規のルート上を歩いて下さい。

こまめに水分を補給する

登山というのはかなり激しい運動です。発汗量は思いの外多く、油断すると脱水症状を招きがちです。下手をすると死にかねないので、そうなる前にこまめに水分を補給することが大事です。

強風や雷や落石に気を付ける

富士山は、特に山頂付近では風が強く、突風にさらわれて転落死してしまった例もあります。雷は通常上空で鳴るものと考えがちですが、富士山では自分が雷雲の中に入ってしまうようなこともあります。落石は人為的なものだけでなく、自然に起きることもあります。むしろ自然落石の方が危険です。

自然の力は絶大で、ちっぽけな人間如きが生身で対抗できるはずはありません。荒天に危険を感じたら、諦めて下山するなり山小屋へ避難して様子を見るなりして下さい。登下山中、特に八合目付近から上では、足元だけでなく上方からの落石にも注意して下さい。


登り方

速さ

無事登頂する為に一番有効なのは、ゆっくり登ること。特に、歩き始め(長時間の休憩後を含む)の十五分くらいは輪をかけてゆっくり行くとよいです。

長い時間続けて登る(運動する)為には、身体に蓄えられた脂肪を燃料として活用することが大事です。ところがあまりきつい運動をすると、脂肪ではなく筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンという燃料を多く使ってしまいます。グリコーゲンはそんなにたくさん蓄えられていないので、それが尽きるとおしまい。いわゆる「バテ」が来てしまって、もうその先を登る気力も失われてしまいます。これを避ける為に、ゆっくり登るのです。

では、「ゆっくり」とはどれくらいのことなのか。人によってその速さは大きく異なりますが、極端に苦しくならないペースのことです。しかし、これでは漠然としすぎていて慣れないとよく分からないかもしれませんので、ここでは具体的な目安となるものを見繕います。ずばり、脈の速さ(心拍数)です。

歩きながら、或いはちょっと立ち止まって、十五秒間の脈拍を数えて下さい。手首の内側で測ってもいいし、頚動脈のところでも心臓の上に手を当てるんでも構いません。そうしたら、十五秒間の回数を四倍します。それが一分間の心拍数です。その数が以下の表の値を超えているようなら、ペースを落とした方が無難です。

年齢による心拍数上限値の目安
年齢 8 16 24 32 40 48 56 64
心拍数上限値 159 153 147 141 135 129 123 117

【上限値の計算式:(220−年齢)×0.75[回/分]】

なお、この数値はあくまで目安です。同じ年齢でも適正な上限値は人によって異なりますし、算出する計算式自体も色々ある説のうち中庸と思われる辺りを私が(自らの体験と周囲の人々のデータを基にしつつ)勝手に拾っただけなので、絶対的なものではありません。数字よりも、自分の身体に訊いてみる方が確実です。「こんなペースでは、とても歩き続けられそうにない。」と感じたらペースを落として下さい。もし息が上がっちゃったら、ちょっと止まって腹式呼吸を深くゆっくり行い、息を整えるとよいです。

足の運び

上述のようなペースを守って登る為には、出来るだけ強い力を使わない登り方が大事です。

まず、一歩で稼ぐ標高差をなるべく小さくすること。具体的には、歩幅を狭くして、大きな段差があったら出来るだけそれを避け、もっと小さい段差で上がれるルートを探すこと。これによって歩く距離(道のり)自体は延びますが、一歩当たりの負担(運動の強度)は小さくなり、脂肪を燃やす有酸素運動を多く出来ます。

脚の使い方も重要。平地を歩く時には、通常つま先で地面を後ろに蹴って進んでいます。ふくらはぎの筋肉を使うやり方です。登山では、これをなるべく避けます。具体的にはこうです:

  1. 足を前に(上に)踏み出す。
  2. 踏み出した足の上に重心を移動させる。
  3. 主に踏み出した脚の太もも(膝の上)の筋肉を使って、ゆっくり重心を持ち上げる。
  4. 1.に戻って繰り返す。

2.で重心を移動させる際に後ろに残した脚の蹴りを使いますが、ここでもふくらはぎ(つま先での蹴り)をあまり使わず、太ももの筋肉を使うようにします。足の裏全体で(意識としては、踵で)じわりと地面を押すような感じです。(急激に身体を持ち上げたり、ふくらはぎの筋肉に頼った歩き方をすると、脚を攣る可能性が高くなります。)

このような歩き方をするには、

  • 足先を外側に向ける(がにまた)
  • 両足の左右方向の間隔を広めに取る(がにまた)

と、やりやすくなります。こうすれば重心が足の間から外れることが減り、バランスよく登れます。また、滑りやすい路面でも滑りにくくなり、体力の無駄な消耗も防げます。

呼吸

腹式呼吸でゆっくりと深く、というのが基本です。意識としては、お腹の力で息をゆっくりと深く吐くようにするといいでしょう。酸素が薄くなって苦しくなると呼吸が速く浅くなりがちですが、逆効果なので注意。

なお、適度のおしゃべりは気を紛らわせたりするのに有効ですが、あまり喋り続けると苦しくなりますので程々に。

休憩

休憩の取り方は意外と問題です。決まった取り方があるわけではないのですが、あまりでたらめに休憩していると時間が掛かるばかりか登りの辛さも増します。そこで、大まかな指針を示してみます。

なるべく休まない

写真を撮ったり、脈拍を測ったり、水分を補給する為、頻繁に短い時間(一分くらい)立ち止まることは構いません。しかし、長めに休むのは概ね一時間から二時間に一回くらいにしておいた方がよいです。一旦長く休んでしまうと、身体のモードが変わって次に歩き出した時に辛くなるからです。

休む時は、時間を短めにする

上と同じ理由です。長く休むと、後が辛いのです。例えばおなかが減っておやつやおにぎり等を食べる時も、五分くらいで切り上げればその後の辛さも気にするほどではないでしょう。しかし、十五分或いはそれ以上も休んでしまうと、「また登るのか・・・」という気分にもなりがちです。山頂までの時間も長くなり、苦しさ倍増。

長く休んだ後は、意識的にゆっくり歩く

これも同じく、長く休むと身体のモードが変わってしまうからです。身体が登りに慣れてくるまでは、「こんなに遅くていいのだろうか?」と思うくらいゆっくり行った方が安全です。

「登りは長くてきついのに、そんなに休まないまま行けるか!」と思われるかもしれません。しかし、休まずに長時間歩けないとしたら、それはその時のペースが貴方には速すぎるということです。富士登山は競争ではないので、焦らずゆっくり楽しく登って下さいな。


下り方

岩の多い区間

御殿場口上部と富士宮口の大半がこれに該当します。固い岩の作る大きめの段差が多く、脚には酷な道です。特に、富士宮口は山頂から新六合目までほぼ全てが固い急坂なので、脚に自信の無い場合は御殿場口七合目から宝永山を経由するルートで下った方がいいかもしれません。

さて、その固い岩の道を下るコツ。

  • 足を静かに置く。
  • 一歩で下る段差を出来るだけ小さくする。
  • 大きな段差を下る時は、まず段上で両足を揃えて膝を折り(腰を落とし)、そこから片足を下へ伸ばしてそっと置くようにする。その際、必要に応じて手を使う。

他には、杖の類を使ったりするのも脚への負担を減らす上で有効です。いずれにせよ、どたどたと乱暴に下るのはよくありません。足や膝や脳への衝撃が小さくなるよう、ちまちまと静かに下りましょう。

砂走りの区間

須走口の大半と、吉田口・河口湖口の上部、御殿場口の中間部分がこれに該当します。他の山では滅多に味わえない、富士下山の醍醐味とも言える領域です。と言っても、須走口及び吉田口・河口湖口の上部と御殿場口の中間部分では砂の深さが大分異なります。前者は浅め、後者は深めです。

では、その砂走りを楽にこなすコツ。

  • なるべく砂の深そうな所を選び、可能なら大股で歩く。
  • 前に出した足の土踏まずに体重を掛けるようにする。
  • 出した足は多少滑るが、それが止まったら次の足を出す。
  • たまに砂に埋もれている岩があるので、急激に全体重を掛けないようにする。

以上。「土踏まず」さえ意識すれば、そんなに難しくありません。足先を多少外側へ向けるようにすると、下に岩があった場合に足首を捻挫する危険を減らせるかと思います。砂が深いようなら歩幅を広く、浅いなら狭くするとよいでしょう。

それ以外

須走口下部の樹林帯の歩き方は、「岩の多い区間」に準じます。ゆっくり静かに歩けば、岩場よりも脚への負担が少なくて楽です。

問題なのは、吉田口・河口湖口の大半と御殿場口下部の固いブルドーザー道。御殿場口はそこまでが比較的楽だし、固い区間の距離も短めなのでまだましなのですが、吉田口・河口湖口は長くて大変です。滑りやすいし、足を捻るには適当なサイズの小岩〜石がごろごろしていたりもします。一番いいのは、吉田口・河口湖口の下山道を使わないことです。バスで帰るなら(バスの時刻を確認の上)他の下山道から下ればいいですし、車なら吉田口・河口湖口から登らなければいいだけです。

ここまで書いても吉田口・河口湖口から下りたい人は、事前に脚力をつけておくとよいでしょう。膝を半分まで曲げるスクワットを毎日百回やる、といった簡単なことでも効果はあります。荷物を背負ってやったり、回数を増やしたり出来ればなお頼もしい。あとは、階段の下り。勤務先や駅の階段、少なくとも下りは全部階段を使うようにすると良いトレーニングになります。また、膝を保護する為のごついサポーターなんかも或る程度有効です。(保温用の薄くて柔らかいものではあまり役立たないかと思われます。)

歩く際の注意点としては、

  • 重心を後ろに残さない。
  • 歩幅を狭めにする。

くらいでしょうか。転倒や捻挫の危険を減らせます。

休憩

下りでの休憩の取り方は、登りに較べると「どうでもいい」度合いが高いと思います。長めに休んでも、休憩後の辛さが増すことをさほど気にしなくてよいでしょう。歩き始める前に、関節や筋肉をほぐしておくことで怪我の危険性を減らせます。


使えるかもしれない道具

えーと、道具に頼って楽をするという考え方を突き詰めていくと、ヘリコプターで運んでもらって山頂へ行き、やった!ということにもなりかねないのですが、人は服を着たり靴を履いたりして楽をしているのも事実なので、「人力」を有効活用するといった目的での道具の使用はよろしいのではないか、と私は思います。

そこで、「歩き」を助けるようなちょっとしたアイテムをここでは紹介してみます。

インソール(靴の中敷き)

高価な靴を買っても、中敷きには意外としょぼいものが入っていたりすることがあります。そんな時は、自分で好きなのものを買ってきて入れ替える。いいものを選べば、足や膝への衝撃が減って下りが少し楽になります。注意点としては、厚み。靴にもともと入っていた中敷きで足を合わせて靴を選んだ場合、同じぐらいの厚さのものと入れ替えないと履き心地が変わってしまいます。

因みに私は、今のところIMPLUSのBoot Airr等を使っています。東急ハンズやオリンピックといったお店でも扱っているようです。

BAND-AIDマメ・靴ずれブロック

絆創膏の代名詞にもなっている「バンドエイド(ジョンソン・エンド・ジョンソンの登録商標)」の、しなやかなクッション状のシールです。靴擦れの起きそうな箇所に予め貼っておくと、靴擦れをかなり高い水準で防いで/やわらげてくれます。素材には吸水性・伸縮性があり、容易には剥がれません。

同様の製品は他社からも出ていますが、私の試した範囲できちんと使えるのはこれだけでした。他社のは、薄くて保護する度合いも低いし汗をかくとあっさり剥がれて使い物にならず。(「マメ・靴ずれブロック」も、すげえ汗を掻けば真っ白くふやけてずれてきてしまうこともありますが・・・)

登山用品店やチェーン店の薬屋等で売っているのを見かけます。

ザトペック(Zatopekスポーツ用)

「酸素摂取量アップの鼻腔拡張テープ」だそうです。鼻の外側に貼り、内蔵するプラスチックバーの反発力で鼻腔を拡げることによって鼻の通りをよくするもの。「何だ、そんだけかよ」と思うなかれ。あいにく富士登山ではまだテストしていないのですが、他の「息が切れる」ような局面では確かに効果を発揮しました。

問題なのは、入手出来るかどうか。箱には発売元が「株式会社ベースボールマガジン事業社」、輸入元は「株式会社フォワード・インク」、製造元は「Corbett Lair社(アメリカ)」と記されていますが、これらいずれもweb上でサイトを発見不能もしくは発見出来てもこの「ザトペック」についての記述は発見不能でした。

「金剛杖」や登山用のステッキ(ストック/トレッキングポール)。脚への負荷を腕力で分担するという理屈上、多少なりとも登降を楽にする効果が期待されます。金剛杖は、少々重たいのですが記念品としての意味も考えると悪くないのかもしれません。機能的には登山用の伸縮式ものが軽くて持ちやすいのでよいでしょう。

登山用のステッキ/ストックには、(主として)持ち手部分がスキー用のポールと同じような形のものと、T字型になっているものがあります。後者は試したことがありません。前者は、二本持つやり方と一本持つやり方があります。二本の方が脚を補助する役割は大きいのですが、その分腕で運ぶ為の負担が増えます。(平均的な重量は、一本で約200gから350g程度です。)

登り/下り共、うまく使えば特に急斜面や足場の悪い所で効力を発揮します。注意点は、登山用ステッキの場合は長さを身長や斜度に合わせて適切に調節すること、出来れば事前に他の山で使ってみて慣れておくこと等です。ストックを初めて使うのが富士登山でしかも二本、というのはお奨めしません。必要な長さと強度を確保した上で、出来るだけ軽いものを選んだ方が楽です。

金剛杖の値段は、五合目で一本1000円くらい。長さは、立てた時に上端が自分の肩から顔の前くらいになるものがいいそうです。1.5mのもので重さは500g程あります。木の表面が粗いので、手袋をするか200番くらいの紙ヤスリで整えるとよいかと思われます。

ヘリウム入り巨大風船

ザックに括り付けておくと、浮力で荷物が軽くなります。あいにく私はまだ試していません。なお、風船の大きさ(ヘリウムガスの注入量)を間違えると荷物どころか自分も飛んでいってしまうおそれがあります。お試しの際は十分にご注意下さい。


事前の準備

病気や怪我が無く、日常生活を問題無く送れる程度に健康な人を対象として、楽しく富士山に登る(体力的な問題での敗退可能性を減らす)為のトレーニング方法を紹介してみます。トレーニングはここに書かれた方法でなくても構いませんし、特別なトレーニングなど全くせずとも問題無く登れてしまう人だっていますので、必要に応じて軽く参考にしていただければ、と思います。

まずは、近所を2kmくらいジョギングしてみて下さい。ゆっくりでいいです。足等の都合で走れない方は、二十分を目安に「急いで歩く」というのでもOKです。二日酔いの時や炎天下は避け、事前に適度の水分を補給し、よく準備体操をしてからやって下さい。運動不足を自覚する方は、特に足首を念入りに(片足百回くらい)ぐりぐり回してからどうぞ。また、途中で苦しくなったら、無理をせずに中止して下さい。

さて、いかがでしたか?「いい運動になったな。気持ちいいや。」程度で済んだ方は、或いは、普段からもっと負荷の大きい運動をしている方は、下の「練習の例」へ進んで下さい。そうでない方は、まずここを突破できる身体を取り戻しましょう。

こういうのは、日頃の生活態度が効きます。まずはまともな食生活を心掛け、毎日お酒を飲んでいる人は週二日の休肝日を設ける。電車やバスで通勤・通学している人は、一つ隣の駅やバス停を利用して、一日に十五分×2、合計三十分くらいは足早に歩くようにする。車通勤・通学や在宅勤務・修学等で普段あまり歩かないといった方は、朝早起きして三十分くらい近所を散歩する。建物内ではなるべくエスカレーターやエレベーターに頼らず、階段を使うようにする。(職場が五十階にあるってな方は、最初から無理しなくていいです。程々に。因みに下りだけ階段、でもかなりの効果があります。)

こういった心掛けで、3kmのジョギングもしくは三十分のすたすた歩きをこなせるレベルを目指して下さい。それが出来たら、富士登頂に確実に一歩近づいたと言えましょう。更に近づく為に、次の段階へ進んで下さい。

練習の例

上記をクリアした人を対象に、実際に山へ登ってみる練習を紹介します。水泳や自転車乗り、走り込みといったトレーニングで心肺機能を中心とする体力の向上を図ることも有効には違いないのですが、山登りに使う道具や「山登り」という行為そのものに慣れておくことは富士登山を楽しく成功させる為にかなり有効です。(下りで使う筋力を付けるには、水泳、自転車乗り、ランニングはあまり役立ちません。)

以下の行程をこなす際、出来れば実際に富士山へ持って行くのと同じような荷物を持って行くといいでしょう。靴も、富士山へ履いていく予定のものを履いて行けば、よい慣らしになります。余力があったら、荷物に1-2kgの重り(水を入れたペットボトル等)を加えておくと更によい訓練になります。

そうそう、よほど整備の完璧なハイキングコースへ行く場合以外は、ちゃんとそこの地図も持って行って下さい。低山でも迷って遭難騒ぎに発展することがあります。

第一段階:軽いハイキング

まずは足慣らし。概ね二時間以内の登りがある低山へ行ってみます。標高差(登り合計)で言うと、300mから600m程度の所。例えば東京周辺なら、最適なのは高尾山(ケーブルカーを使わず、登りは舗装路以外の道から)。ゆっくり登って下さい。なるべくなら、長い休憩を途中で入れずに登れるペースで行きます。水分はこまめに補給すること。

「近くには三十分から一時間で登れてしまう山しかない!」といった地域にお住まいの方は、そこを一日に続けて二回登って下さいな。登る標高差の合計が250-500mくらいになればOKです。

第二段階:少し長めのハイキング

次に少し長い時間歩く練習。概ね三時間程度の登りがある山に登ってみます。標高差で言うと、500mから1000mくらい。東京周辺だと、例えば丹沢の大山(ケーブルカーを使わず、登りは舗装路以外の道から)。

「登り標高差が100-300m程度の山しか近所にはない!」という方は、そこを一日に何回も登る・・・のはちょっと面白くなさそうなので、出来れば少し足を伸ばしてそれなりの標高差がある山へ出向いてみてはいかがでしょう。

ここでは、途中で長めの休憩を入れるのは一回にしてみて下さい。例えば蓑毛バス停からヤビツ峠経由で大山へ登る場合、中間点のヤビツ峠までは長く休まずに行くことを目標にするとよいです。頻繁にちょっと止まって水分を補給するのは構いません。

第三段階:ちょっと本格的な山登り

いよいよ最終段階。ここをクリアすれば、技術的・体力的にはほぼ富士登山をクリアしたも同然のレベル・・・と言い切るのは一応やめにしておきます。富士山は他の低山と較べると多少酸素が薄いので。しかし、登り方さえ間違えなければ、十分に「楽しい富士登山」をこなすだけの技術・体力のあることが見込まれます。

登りが概ね四時間からそれ以上、標高差にして1000mを有意に超える山に登ってみます。東京周辺なら、例えば丹沢の塔ノ岳(塔ヶ岳)。登山口までの足を確保できるのであれば、もう少し到達標高の高い山を目指してみるのもよいでしょう。但し、雪のある時期は避けて下さい。南関東の2000m級の山だと、五月頃までは北側斜面を中心として雪が残っていることがあります。

登る際の長めの休憩は、出来れば二、三回にとどめておきます。この段階まで来れば、「あまり休まずにゆっくり登り続ける」という感覚が掴めてきているのではないでしょうか。富士山でも、それを忘れずに登ればOKです。


おしまいに:直前から当日のこと

ここまで、うだむだと役に立つんだか立たないんだか分からないようなことをいっぱい書いてきましたが、最後にそれを無にするようなことを言います。「富士山へ登るのに、そんな面倒臭いことは要らねえ!」です。最低限の体力はどうしても必要ですが、歩き方だの事前の身体的準備だのといったことは、言ってしまうと「好きにすればよろしい」。

あまり難しく考えず、気楽に行って下さい。当日までの食事も普通にしていればいいし、大きく体調を崩していなければ多少睡眠時間が少なかったり何だりしても平気です。あれこれ心配するより、ぴゃっと行っちゃうのが一番です。こんな記事を最後まで読んで下さるような方は、準備もしっかりと出来ることでしょう。

後は、「気合い」あるのみです。楽しい富士登山を。

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