Rjの登高漫歩
たのしい富士登山 - ルート紹介 - 須走口

last modified: 2007.07.29


富士 - もくじ

  1. はじめに
  2. 登山適期
  3. 各登山道の特徴
  4. 単独?グループ?
  5. 必要な装備(道具)
  6. 歩き方のコツ
  7. お鉢巡り・山麓散策
  8. 富士登山関連リンク

須走口の写真

2003.07.12 - fuji-azami line
動物の多い富士あざみライン。

2003.07.12 - chuushajou
七月中旬、土曜夕方。

2003.07.12 - fuji
駐車場から見た富士。

2003.07.12 - tozanguchi
まぶしいのが菊屋。

2003.07.12 - tozandou hyoushiki
標識に従って進みます。

2003.07.12 - hongogou hayashi-kan
夜の本五合、林館。

2003.07.13 - miharashi-kan
本当は標高3200m弱。

2003.07.13 - hachigoume edoya
八合目の江戸屋。

2003.07.13 - sekkei
九合目付近、北側斜面。

2003.07.13 - sanchou
遂に山頂。やった。

2003.07.13 - yamaguchiya shiten
山頂の山小屋の例。

2003.07.13 - kengamine
火口と剣ケ峰。


2003.09.03 - hakusandake
目指せ白山岳。

2003.09.03 - kengamine
白山岳山頂から剣ケ峰。


2003.09.03 - gezanguchi
下山口にある標識。

2003.07.13 - bunki annnai
八合目の分岐案内板。

2003.07.13 - sunabarai temae
もうすぐ砂払五合。

2003.07.13 - sunabarai torii
鳥居を潜って進みます。

2003.07.13 - mori
こんな森を歩きます。

各登山道の特徴

  1. 概要
  2. 吉田口・河口湖口
  3. 富士宮口
  4. 須走口
  5. 御殿場口
  6. おすすめは?

須走口(すばしりぐち)

富士スバルラインや富士山スカイラインのマイカー規制期間中以外はあまり人気が高くないようですが、富士山にしては珍しく変化に富んでいて、登りも下りもそこそこ歩きやすく、富士山の色々な側面をたっぷりと味わえるルートです。

ご来光を拝む上でも自由度が高く(拝めないのは下の方の樹林帯の中だけ?)、例えば七合目辺りでのんびり御来光を楽しんでから山頂を目指すといった行程も可能です。登山口の標高が吉田口・河口湖口や富士宮口と較べると少々低いのですが、体感で言えば登りも下りも吉田口・河口湖口の往復より楽です。やや低めの登山口からしばらく樹林帯の中の緩い道を歩くということも、いわゆる「高山病」の危険を遠ざけるのに役立っていると思われます。

強いて難点を挙げるとすれば、登りの途中一部の区間で路面がやや滑りやすいこと。登山道にしては砂が深めだということで、多少体力を食われます。ただ、それにしても御殿場口登山道と較べれば殆ど無視できる程度の短いものです。なお、このような路面は下りだと「砂走り」を可能にするありがたいものとなります。

ルート概説

#以下、掛かる時間の目安を示していますが、概ね一時間に200-250mの標高差を登るペースでの数字です。元気な人ならもっと速く歩けますので、さほど苦しくないようならこれより短い時間で進んでも「オーバーペースか?」と心配なさらないで下さい。

新五合目から古御岳神社まで

運が好ければ、山小屋(というより、お土産屋さん風)「菊屋」のおばあちゃんにしいたけ茶をご馳走になって(その代わり、帰りにお土産を買う約束をさせられて)出発。初めは幅の広い道を緩やかに進みます。「毒きのこに御注意!!」という看板がありますが、私は今のところマタンゴに襲われることもなく無事に通過出来ています。

なお、この辺りの標高は約2000m。東京都最高峰の雲取山(2017m)と同じくらいの高さです。薄い酸素に敏感な人は急に動くと頭が痛くなったりしますので、しばらくまったりと時間を潰すのもよいでしょう。

古御岳神社から本五合目 六合目まで

僅かで古御岳神社に到着。最近はここで登山道と下山道が合流(分岐)しています。神社に向かって右の登山道を進みましょう。神社からしばらく樹林帯の尾根を緩やかに登り(人の少ない時期/時間帯なら、鹿や兎に出会えるかも?)、一時間程で樹林帯を抜け(天気が好ければそこでもご来光OK/富士本峰の雄大な姿も拝めます)、再び樹林(潅木)帯に入ってもう少し登るとやがて本五合の林館 「六合目」長田山荘を見出す、といった感じです。露出した溶岩の展望ポイント等に寄り道しつつ、二時間程見ておけばいいでしょう。

因みに林館 長田山荘の標高は2425m程だそうです。他の山で言えば、尾瀬の燧ケ岳(東北最高峰)よりも少し高いくらい。つまり、国内に限ると関東地方よりも北にはここより高い所はありません。

本五合目 六合目から本八合目まで

潅木の間の歩きやすい道を、登山道を示す標識に従って穏やかに登ります。ゆっくり登って一時間程で六合目の瀬戸館に到着。標高は2630m程で、ここいらから段々木が無くなってゆきます。2630mというと、奥秩父の最高峰北奥仙丈岳(2601m)を超える高さですね。変化する植生を感じながら、徐々に高度を上げて行きます。

瀬戸館からゆっくり一時間半程登ると、標高2920mの七合目大陽館に到着。既に八ヶ岳連峰の最高峰赤岳(2899m)を超え、中央アルプス(木曾山脈)の最高峰木曽駒ケ岳(2956m)にも迫る高さです。因みに、ここの夕食は美味しいそうです。天気が好ければご来光もばっちりなはずなので、穏やかな登山を目指す方はこの辺で一泊というのもいいかもしれません。

七合目から先は、道が少々滑りやすくなります。露出した岩が減り、富士山に多く見られる火山粒(スコリア)が増えてくるからです。こういった路面では、足首のスナップを効かせて大股で登・・・ったりしないことが特に肝要。足の裏全体でじわっと踏みしめるように一歩一歩進みます。

一時間から一時間半程で、本七合目の見晴館です。標高は3200m弱、南アルプス(赤石山脈)の最高峰で日本第二の高峰たる白峰三山の北岳(3192 3193m)や、北アルプス(飛騨山脈)の最高峰で日本第三の高峰たる奥穂高岳(3190m)とほぼ同じくらい。天気が好ければ、その高さを眼前に拡がる光景で実感出来ることでしょう。

でも富士山は「別格」なので、頂上へはまだしばらくの登りです。標高差にして残り約600mもあります。はやる気持ちを抑え、じっくりと登る心を抱きましょうか。そうそう、見晴館前からも御来光はばっちりです。ここに泊まったり、夜間登ってきてここで夜明けまで休憩(仮眠)するというのもいいかもしれませんね。因みに、(下の方を除くと)須走口は本七合、本八合、九合目、頂上に鳥居があります。視界のよい時は目安にどうぞ。

本七合目からは、三十分程の短めの登りで八合目江戸屋(青い小屋)に着きます。下山時にはここで吉田口・河口湖口と須走口の下山道が分岐しますので、そこに立っている案内板を見て記憶に留めておくとよいと思います。標高3270m、既に国内には比すべき山岳が存在しません。酸素もかなり薄くなっているので、(日帰りの人は特に)ゆっくり登ることを心掛けます。

八合目から再び三十分弱の短めの登りで、本八合目胸突江戸屋(橙の小屋)に着きます。ここは吉田口・河口湖口登山道との合流点となっており、突然人が鬼のように増えるのでびっくりします。時期や時間帯にもよりましょうが、恐らくそれまでの穏やかな状態とはかけ離れた喧騒に飲み込まれることとなるでしょう。登りの一番きつい領域で人が増えるというのはあまり好ましいことではありませんが、下からずっと人にまみれて登ってくるよりもよかったと思うことにして下さい。ここで標高約3360m。残り標高差は400m弱です。

本八合目から山頂(久須志神社)まで

吉田口・河口湖口に準ずるのでそちらをご覧下さい・・・として省こうかと思いましたが、頑張って違うことを書いてみます。残り僅かとなったこの区間で挫折する人も少なくないようなので、それを避ける「戦術」・・・なんて言うと大げさですけど、何らかの指針にでもなれば幸い。

この区間を二つに分けます。前半が本八合目から九合目の鳥居(すぐ上に見えます:標高約3580m)、後半は九合目の鳥居から山頂まで(山頂直下にも鳥居があります:標高約3720m)。登るべき標高差で言うと、前半が約220m、後半が約140mです。酸素の濃い低山であれば、この二つの区間は元気な人なら(山登りに慣れていなくても)一時間程度で登り切ってしまうくらいの標高差です。しかし、酸素が平地の約2/3しかない高山なので、倍の二時間を目安にします。

前半を一時間、軽い休憩と後半を合わせて一時間。この数字は、上に記してきたここまでの区間での時間をおおよその基準にしています。上記よりも早く登れた人ならもっと短く済むかもしれませんし、上記よりも時間の掛かった人の場合は適宜増やして考えて下さい。見ての通り、前半よりも後半のペースを落とします。山頂に近づけば近づくほどペースを上げたくなるのが人の心理ですが、敢えて落とします。「落ちる」ではなく、自分で制御して「落とす」のが望ましいです。また、ここで私が提案しているのは、元気な人には実行可能な配分です。

ここを突破するのに必要なのは、

  1. 「高山病」の症状(酷い頭痛、吐き気、極端な息切れ等)が出ていないこと
  2. ゆっくり一定のペースで登ること(「歩き方のコツ」を参照)
  3. 「登り切ってやる!」という気合い

です。最後、昨今嫌悪されてる精神論のようですが、第一の条件を満たしながらであれば、最も重要な項目だと思います。

と言っても、強い(酸素摂取能力の高い)人なら気合いの「気」の字も要らぬまま登れちゃったりします。それはそれでいいでしょう。あまりに歯ごたえがなくて拍子抜けしたなら、今度は御殿場口から登ってみるというのも楽しいかもしれません。

山頂から白山岳まで

最高峰の剣ケ峰(3776m)までの道については、吉田口・河口湖口の方に書きましたのでそちらをご覧下さい。ただ、これらのルートから登った場合、剣ケ峰は遠いです。天気の好い時なら、二番目に高い白山岳(3756m)に登ってみるというのも選択肢としては有りだと思います。眺めは最高ですし、久須志神社から近いのであまり時間が無くても往復可能です。

道は、下から山頂に向かって右。久須志神社を基点とすれば、山小屋が並んでいるのとは反対方向です。もわっと久須志岳の肩に乗るような感じで進み、白山岳との間の鞍部(馬の鞍のように凹んだ所)辺りから登ります。ゆっくり登って十分程です。

登り口はロープで塞がれているかもしれません。私の行った時には踏み跡は割合しっかりしていてそれを辿れば滑落しそうな危険個所もありませんでしたが、外側(お鉢=富士山の火口の反対側)へ寄りすぎないようにご注意下さい。また、山頂に柵のような物は無く、北側の崖に近寄るのは危険です。鳥居の辺りをうろうろして戻るだけなら落ちるような場所はありませんが、それでも風の強い時には危険が増します。

ということで、風の強い時には登らない方が無難です。風が弱くても、途中で不安を感じたら引き返して下さい。そこでは誰も貴方のことを守ってくれません。一つしかない命をどうかお大事に。

そうそう、山頂の鳥居を左に見て更に少し奥へ進むと、「釈迦の割石」と呼ばれる奇岩を間近に見ることが出来ます。但し、ぽこりと凹んだ蟻地獄のような小さい噴火口(小内院)に落ちないようにして下さいね。更にその先には「雷岩」と呼ばれる突起が稜線上にありますが、危険なので行かないで下さい。

下りは、来た道を戻ります。余力があれば金明水の方まで降りてみるのもいいかもしれません。こんな所に湧き水があるのは不思議(涸れていたら残念賞)。


下山:山頂から八合目まで

この区間は吉田口・河口湖口と同じです。久須志神社の脇から続く山小屋群を抜けると、バイオトイレが左側にあると思います。その斜向かいに、下山道を示す石柱が立っているでしょう。その辺から下ります。

八合目までは、ややふかふかの幅広いブルドーザー道。なるべく砂の深い所を選んで歩く方が楽です。但し、時折砂の下にごろごろの岩が隠れていたりしますので、過度に飛ばさず気を付けて歩いて下さい。久須志神社から八合目まで、二十分から一時間程の道のりです。登山道を下るという選択肢もあるようですが、時間は一時間から二時間程掛かります。登る人とのすれ違いに気を遣いますし(落石を起こしたら大変)、足や脚への負担も大きくなりがちだと思います。

八合目江戸屋(青い小屋:本八合目、橙色の胸突江戸屋とは別です)の前には、吉田口・河口湖口(山梨県側)下山道と須走口(静岡県側)下山道の分岐を示す大きな案内板(左;縦長の写真)があります。見落とさぬよう、そして、間違えて山梨県側に下らないように注意しましょう。案内板は今後デザインの変更があるかもしれませんが、山頂から下に向かって右が須走口の下山道です。

八合目から砂払五合まで

ここからはいよいよ本格的な「砂走り」区間となります。ふかふかの深い砂の道を、ざっくざっくと大股で下って行きます。富士登山(下山)の醍醐味とも言われています。書いてあるのを読むだけだと、「何だそりゃ?」と思われるかもしれません。しかし不思議なことに、これは本当に楽しいのです。あはははは、と顔が自然にほころんでしまうくらい。

但し、浅い靴だと砂が入ってきて大変なことになるかもしれません。くるぶしまで覆うトレッキングシューズ等がお奨め。ローカットの靴なら、スパッツを使うとよいでしょう。詳細は「必要な装備(道具)」をご覧下さい。

八合目から七合目まで、途中一部に砂走りの出来ない区間もありますが、概ね快調に下れます。三十分から一時間程度でしょうか。七合目の大陽館前を通りますので、休憩するなりしないなり。その先はわざわざ下山道を逸れないと山小屋には寄れませんから、トイレ等を済ませておくとよいかと思われます。

七合目から砂払五合目まで、同様にざっくざっく下ります。(下の方で一部、道の付け替えられている箇所があるかもしれません。)一時間から二時間程で砂払五合に到着。名前の通り、ここで砂走り区間はおしまい。靴や裾の砂を払います。が、湿っていると払えないので残念賞。

砂払五合から新五合目まで

鳥居を潜り、樹林帯の道を行きます。最後に柔らかな雰囲気を味わえるのはよいものです。所々段差があったりしますので嫌う人もいるようですが、私は好きです。木々のざわめきや足元に咲く花などを感じながら、ゆるやかにしめやかに旅を締め括れます。三十分から一時間で古御岳神社に到着、ほっと一息。しいたけ茶をくれるかもしれない菊屋のおばあちゃんまで、あと五分程です。

あっそうだ。最後の最後に、マタンゴ襲来の危機があるかもしれません。御注意!!

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